在庫補充の動きは生産業の各分野にも表れ始めている。鉄鋼業を例に挙げると、2013年1月18日、鋼材価格指数は108.39で、2012年末に比べ2.9%上昇している。同じ時期、全国26の主要取引市場で取引されている主要鋼材5種(スクリュー・スチール、線材、熱延鋼板、冷間圧延鋼、中・厚板)の在庫量は246万7000トン増の1434万6000トンに達し、2011年9月以来の高水準となっている。
実体経済で在庫補充の動きが出始めていることと、1年以上続いた在庫消化の動きは明らかに対照的である。2012年、名目需要(社会消費品小売総額・固定資産投資・輸出額の合計)の伸び率は概ね15%前後に維持されていたが、名目供給(PPIを用いて、工業増加値(付加価値)から物価変動要素を除した数値)の伸び率は2012年年始の11.8%から徐々に8.1%まで低下し、需要と供給のギャップは年始の2.1%から7.6%まで拡大した。つまりは、最終需要の安定した比較的速い伸びが製造業に効果的に作用せずに、在庫の消化を促していたことが分かる。データからも分かるように、工業製品の在庫の前年同期比伸び率は2012年年始の18.3%から徐々に縮小し、11月には7.9%まで低下している。