トヨタの豊田章男社長は4月19日にニューヨークの記者会見で、2015年より米国でハイエンドブランド「レクサス」の生産を開始すると発表した。トヨタは米国で5億ドルを投じ、中型高級セダン「ES」の年産を5万台に拡大しようとしている。米国市場で最も人気のある高級セダンのレクサス・ESは、これまでトヨタの九州工場で生産されていた。トヨタはこれにより高い生産利益を獲得し、為替相場の変動を受けにくい生産構造を構築しようとしている。
日本国内の物価について見ていくと、安倍首相の一連の措置は、フェラーリ、ゴルフクラブ会員資格、高級マンション、高級酒の価格を引き上げただけで、日用品に大きな影響は生じていない。
日本では小売・電子などの産業の競争が激しく、流通している通貨が増加したとしても、生産者側は軽率な値上げにより市場シェアを失おうとはしない。
しかも実質為替相場の下落は、日本の貿易・経済に改善をもたらしていない。安倍首相の実施した量的緩和策は、日本市場に投機的な資本のみを流入させ、市場の見せかけだけの繁栄を引き起こし、その日本の実体経済に対するけん引力は限られている。日本の輸出企業は円安により利益を得るが、原材料と部品を輸入に依存している中小企業は苦しい経営を強いられている。
実際の効果を見る限り、安倍首相の3本の矢はいずれも中心に刺さっておらず、むしろ的から外れている。