▽レクサス 常にほどほど
日系3ブランド中では、レクサスの戦略が最もわかりにくい。同クラスのインフィニティやアキュラとは違って早くから中国市場に進出し、国産化のうわさがしきりに聞こえているが、いまだに国産化の発表はなく、レクサスブランドはずっとあいまいでほどほどの状態にとどまっている。これまで定評のあったアフターサービスの口コミもあまり聞かなくなっている。
レクサスブランドの始まりは、トヨタが米国市場向けに高級車ブランドを研究開発したことにあり、主な特徴は豪華さとスポーティさだ。ほぼ全面的なラインナップをそろえ、細分化された市場で高いカバー率を誇る。だが近年はトヨタの戦略が保守的であるため、中国での販売台数が5万台に達し、国産化の条件が整ったにもかかわらず、依然として新たな一歩を踏み出そうとしていない。このため中国高級車市場の発展期をつかまえ損ない、ドイツ系三強の後塵を拝することになった。
国産化こそが、日系三大ブランドに課せられた共通の課題だ。これまでにインフィニティが2014年、アキュラが16年に国産化をスタートすると発表したが、一番速く中国市場に進出したレクサスの国産化の歩みは遅い。レクサス中国の前執行副総経理(執行副社長)の江積哲さんがかつて指摘したところによると、レクサスが抱える難問は、国産化を実現して販売台数が伸びなかった場合、価格を20%以上下げるわけにはいかなくなるが、消費者はこれを受け入れるだろうか、というものだ。また北京のレクサス販売店の複数の販売員によると、レクサスの消費者の中には国産化を望まない人もいる。国産化されると製品の品質に疑問符がつく可能性があるからだという。