(4)金融政策の分裂
国内の有効需要の不足と世界大口商品の価格が相対的に安定している影響で、米国、ユーロ圏のインフレ率はほぼ2%の目標範囲内を維持し、日本の物価下落が止まったが、その伸びには限界がある。
日本が4月に急進的な量的緩和政策を実施し貸付利率を下げた後、欧州中央銀行(ECB)が11月初めに政策金利の引き下げを発表し、FRBもQEを終了しても基準利率はゼロに近い水準を長期的に維持すると表明した。
それに対し、新興国のインフレ率は高止まりしている。世界の大口商品の価格は全体的に低迷しているが、構造的問題、自国通貨安などの影響で、ブラジルやロシアの消費者物価指数は6~7%の高水準で推移しており、インドの物価上層率は8カ月連続で2桁となった。インフレへの対応策として、一部の新興国の中央銀行は利上げを行っているが、あまり効果が現れていない。