国際決済銀行のデータによると、昨年末より人民元は主要通貨に対して3%以上の元高となっていた。人民元は今年、米ドルに対して0.3%元高となっていたが、アジアの大半の通貨は米ドルと共に下落していた。中国経済の成長率が低下を続け、比較的ゆるやかな金融政策が維持される中、この実効為替レートの上昇は中国の輸出に悪影響を及ぼした。今年上半期の貿易は全体的に冷え込み、通年6%という目標の実現はほぼ不可能になった。7月に入ると輸出データは再び8%以上の低下を示した。これは世界経済の情勢と関連しているが、その一方で元高を維持してきたこととも関係している。
客観的に見て、人民元切り下げの必要性がある。しかし人民元は、国際化の重要な時期に差し掛かっている。中国社会科学院の専門家の張明氏によると、IMFのSDR構成通貨に加わるため、「2014年下半期より市場では元安が予想されていたが、中央銀行は意図的に元高を維持してきた」という。そのため中央銀行が今回、市場化改革の名義により人民元の基準値の調整を行ったことは、本質的に見れば人民元相場の修正、過去の人為的な元高の是正であり、中国の輸出情勢の改善と安定成長の大局にとって有利である。