雑誌『求是』は16日、「中米経済貿易摩擦で明らかにしておくべき若干の問題」と題した記事を掲載した。一部要旨は下記の通り。
米国の現政権は発足当初より、「米国の商品を購入し、米国の労働者を雇用する」という施政方針を示し、「製造業国内回帰」の推進を強調した。米国の一部の人物は「ニンジンと棍棒」を手にし、米国で工場を建設する企業には優遇措置を取り、米国の工場を海外にシフトする企業に対しては関税を問題にし米国回帰を迫っている。この保護貿易主義的な行為は、米国の「製造業の国内回帰」を本当に実現できるのだろうか。
これについてはまず、米国の製造業が海外に流出している原因を知る必要がある。
米国の国内経済を見ると、これは米国の経済運行の法則によって決まっている。経済グローバル化の中、米国のグローバル企業は利益を最大限に拡大するため、多くの産業を発展途上国にシフトした。これによりコストを削減し、市場を拡大し、汚染源を移し、資本の利益獲得スペースを拡大した。それと同時に多くの資本が利益率の低い実体経済部門を回避し、金融分野の投機的な活動を展開し、米国経済の空洞化及び仮想化を引き起こした。
対外経済を見ると、米国の製造業の外部流出は、国際経済運行の法則によって決まっている。既存の国際経済体制において、米ドルは世界的な通貨として覇権的な地位を占めている。これを基礎に形成される世界経済の運行構造には、主に次の特徴がある。米国がドルを供給し、他国(特に中国を含む発展途上国)が製品を供給する。米国が大量に輸入し貿易赤字を生み、他国は大量の輸出により貿易黒字を生む。これは米国の製造業の国内回帰により貿易赤字を減らそうとすれば、ドルの覇権的な地位が低下する可能性が高いということだ。実際に昨年の米国の製造業付加価値額の対GDP比は11.4%のみで、金融・保険、不動産、賃貸業は20.7%を占めていた。脱工業化及び金融化の程度は、国際金融危機前の2007年より深刻なほどだ。米国が製造業の国内回帰を実現するのが困難であることが分かる。
米国の工業製品の生産量を示す工業生産指数によると、季節的な調整により工業部門全体も製造業門も今年1−4月はマイナス成長となり、前年末と比べそれぞれ1.3%減、1.6%減となった。米国の工業の景況感を反映する工業全体及び製造業の生産能力利用率は今年1−4月は77.9%及び75.7%で、1972−2018年の平均値の79.8%及び78.3%を下回った。そのため全体的に見ると、米国の製造業は保護貿易主義により繁栄を取り戻していない。
製造業の世界的な分業は、生産の社会化の世界的な広がりであり、生産力発展の大きな流れとなっている。この流れは一部の国の政策による干渉を受けているが、逆転することは絶対にない。米国の現政権は関税引き上げ、貿易障壁の構築などにより経済貿易摩擦を引き起こし、「売国」のレッテルを貼り付け関税引き上げの脅しをかけるなどして米国のグローバル企業の国内回帰を求めているが、このやり方が予想通りの効果を発揮することはない。米国の製造業が回帰しないばかりか、むしろ世界のバリューチェーンに深刻な破壊をもたらし、世界的な資源配置に衝撃を生む。広く悪影響を及ぼし、世界経済の運行効率を下げる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年6月18日