暑さ冷めやらぬ夜7時、北京市北西部に位置する当代商業圏は依然として人でごった返している。張元さん(27歳)は愛車のビュイックを映画館の近くに停めた。そしてトランクから折りたたみ式のハンガーラックを取り出し、手慣れたようすで後部座席に積んであったTシャツを掛けると、露店を開いた。昼間は広告会社に勤務する張元さんのもう一つの仕事である。
本業と同じように熱心に
社会に出て4年余りの張元さんの月収は6000元ほど。露天商を始めたのは今年3月のことだ。その理由について、「面白そうだと思ったから」と語る。「毎日車でここを通りかかっていました。そのとき、少なからぬ人が車でやって来て露店を開いているのを見て、自分もやってみようと思ったのです」
「実際のところ、そんなに儲けはありません。楽しむことが目的なのです」。愛車のガソリン代ぐらいは稼げ、いろんな人と交流することもできるので、ネットで時間をつぶしたり、友人とバーやカラオケに行ったりするより面白いという。
張元さんの「売り場」の付近には、ジェッタ、シトロエン、パサート、それに色鮮やかなスポーツカーやミニクーパーまでもが停まっている。各車の脇には、洋服や靴、カバン、アクセサリー、化粧品、文具などが並べられ、車の所有者たちが思い思いに商いをしている。
このような「ホワイトカラー露天商族」は、上海、福州、青島、広州などの大都市でも増えている。一般企業に勤めている人もいれば、教師、公務員、外国語が堪能な「海帰」(海外留学帰国者)もいる。彼らのほとんどはマイホームもマイカーも所有しており、これまでの露天商のイメージとは大きく異なる。