働いた実感が得られる
ネット上では、このような「ホワイトカラー露天商族」が、商売に適した場所、品物の仕入れ方、客との交流の仕方、商品の売り方などについて熱く議論している。なかには、露天商の「商品一掃の攻略」を紹介する人や、「露店で創業、シンプルな楽しみを享受しよう」と呼びかけている人もいる。
「琳小样」さんの「トランク露天商の成長日記」は最も人気のあるBBSの一つ。そこには次のように書き込まれている。「株取引だったら、パソコンの前でマウスを動かせば、すぐに数千元儲けたり、損したりするんだろうけど、露天商は違う。お客さんから体温を帯びた紙幣を受け取り、また一食分が稼げたと心の中で数える。働いたという実感を得ることができる」
大手求人情報サイト「中華英才網」が若いホワイトカラー1463人に行った調査によると、6割の人が積極的にサイドビジネスを探しており、その主な理由は収入を増やすためであった。入社してすぐは給料が低く、出費が多いため、チャンスがあればサイドビジネスをして支出を補い、貯金を増やしたいと考えているのである。このような考え方をする若者はしだいに増えている。また、18.3%が「創業体験のため」、14%が「新しいことにチャレンジしてみたいから」と答えている。
北京大学の燕継栄教授はホワイトカラーが露天商をする現象について、中国の中産階層の余暇の楽しみ方の一つだと見ることができると指摘する。いま、中国で異常に流行しているネット取引とまったく同じで、一方はネットを通したものであり、もう一方は伝統的な方法に戻ったものであるに過ぎないという。
「小遣い稼ぎであったり、単に面白いからであったり、なかには今後のビジネスのために経験を積むなど目的は異なっても、結局は余暇の楽しみや気晴らしとしてやっていること。いわゆる『トランク露天商族』の最終的な収穫は、楽しみや精神的な満足」と語る。
合法的な取引の場を
燕継栄教授はまた、このように自発的な、一種のブームとなるかもしれない社会現象に対して、政府は制限や干渉をしすぎるべきではないと指摘する。「もちろん、彼らが市場の秩序を乱すようなことをしたら、そのときは取り締まるべきである。国外の『フリーマーケット』のように、専用の場所を設けて彼らを集めれば、もっと効率的に管理することができる」と提案する。
「チャイナネット」 2009年8月10日