ブログ:2011プロレタリアートエクスプレスの旅

ブログ:2011プロレタリアートエクスプレスの旅。 北京―上海間で高速鉄道・新幹線が先日開通しました。中国共産党結党90周年の記念事業とも言える一大社会インフラのお目見えでしたね。その新幹線で使用されている技術特許の所在などをめぐって日本のメディアでもとりあげられていますが、これは中国の先進国入りを観る上で大きな意味をもちます…

タグ: 北京 上海間 高速鉄道 新幹線 技術

発信時間: 2011-07-14 13:42:47 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

2つ目は、国内産業の不安定化も考えられるでしょう。国家ぐるみともいえる、強引な独自の技術・特許・著作権判断は、中国国内企業(外国企業ではなく)にとっても国の裁定を信頼できないという状態につながるはずです。例えば、ある中国内の中国企業が長年の研究技術開発である製品を開発したとして、この技術を中国内で明確なものとするために特許として確保しておいたとしても、別の中国内の中国企業がこれを「なんらかの手段」で覆すことができてしまうことを示します。この、いわゆる「人治主義的特許技術管理」の想定によれば、他国での特許申請ができないような中小企業、他国で特許申請ができたとしても中国内市場に直接顧客をもつ中国企業にとっても、研究開発投資をしにくい状況をつくりだしているといえます。

このようにして、「強引」な特許・無形資産技術管理は、中国政府にとって、一時的に細かくメリットがあるものの、長期的には一国全体の国際社会からの更なる孤立化、そして中国内企業にとっても信用おけない政府の知財管理システムとのレッテル貼りが浸透してしまうでしょう。先ほど「諸刃の剣」と表現しましたが、改めたほうが良いですね、これでは明らかに、デメリットの方が多いはずであります。

実際のところ、今回の中国版高速鉄道で使用されている技術について、はたしてどの程度オリジナリティーがあるのか、その詳細な「真偽」については、僕も専門家ではないのでわかりかねますが、少なくともこうした批判が各所で出ていることには、中国は「先進国直前国」として、「もっと」重く受け取るべきであると考えます。

何人かの中国の友人たちに、この北京上海間高速鉄道の話をしたところ、「絶対乗らない!」とバッサリでした。確かに、価格設定が高めでありまして、片道5時間弱での切符は600元程度でしたでしょうか。飛行機の片道(2時間)がいま割引チケットで500元前後でも手に入りますので、搭乗手続き等の煩雑さを考えても、飛行機のほうが安くて早くて便利と思われますね。しかも、この高速鉄道はそれでも10年経っても建設コストからの採算がとれないとのことですから、いやはや、GDPの押上げ「だけ」のために使われていると国際社会から批判されるのも納得です。(国威発揚というよりも、行政失点主義の是正がなされていない)ちなみにGDPの引き上げ目的で言えば、目下、武漢の地下鉄建設は同時に・・・・・やめておきましょう(笑)。

ハコモノ行政で失敗した日本とは、「失敗」の原因がかなり異なりますが、中国が日本から学べる失敗の一つではあると思います。せっかくの記念すべき大きなイベントだからこそ、中国には面目にとらわれずしっかりと頑張って欲しいと思います。

特許技術の問題、ハコモノ行政の問題、行政組織失点主義・・・中国高速鉄道は乗客よりも、多くの内政問題を運んでくれているのかもしれません。

(中川幸司 アジア経営戦略研究所上席コンサルティング研究員)

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年7月14日

     1   2  


日本人フルタイムスタッフ募集
「中国網日本語版(チャイナネット)」の記事の無断転用を禁じます。問い合わせはzy@china.org.cnまで

コメント

コメント数:0最新コメント

コメントはまだありません。