米国は公的資金注入の法制化を急げ
――今度の金融危機は90年代のバブル崩壊と酷似していると指摘した報道もありますが、両者は比較できますか?また、日本の銀行業は前回の金融危機でどのような教訓を汲み取ったのですか?それは今度の危機を乗り越えるための経験になるでしょうか。
日本国内でも類似性が非常に高いという声もあります。資産価値の低下によって、信用を創造していたものが壊れてしまい、銀行の機能が停止してしまいました。米国政府は現在、悪化した銀行がもっている資産を買い取る仕組みだけを動かそうとしていますが、当時の日本も同じことをやったものの金融危機は止まらなかった。最終的に政府の公的資金を銀行そのものに注入することで、銀行の機能を安定化させたのです。高額の所得をもらって銀行に勤めている人が責任を取らないまま、政府の税金を積み込むことに対して、国民から納得感が得られず、全面的な対応が遅れた。そのため、日本経済の回復は結果的に時間がかかるようになってしまいました。
アメリカの場合にひとつの教訓として、われわれが伝えなければならないとすれば、公的資金を銀行に注入する仕組みを法律として成立させるべきだということです。アメリカも時の日本と同様に多くの納税者からの納得感という問題をまだ解決できないでいます。ニューヨークの株がもう一段下がってみんなが大変だと感じ始めれば、(公的資金を銀行に注入する)その仕組みが起動し始まると思います。そこまでの準備が整わない現在は、銀行間のお金の融通がまったくできない状態で、経済そのものが麻痺した状態が続いています。それを解決するというのが差し当たった一番重要なステップではないかと思います。
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