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専門家が語る金融危機 日本野村総合研究所の谷川史郎常務にインタビュー
発信時間: 2008-11-25 | チャイナネット

 中国の海外買収は技術向上を目指せ

 

――金融危機が中国の経済に与える影響を分析していただけますか。

短期的にはプラスの影響はないでしょう。一番響いているのは、中国からの輸出の減少です。輸出企業の活動が低下するでしょうし、そこで働いている人たちの給料も影響をうけるので、経済全体の景気が悪くなります。中長期から見ると、新興国のマーケットが確実に成長することに対する期待が、世界的にはものすごく強くなると思います。

今回アメリカで起こっているのはバブルが破裂した現象です。バブルが起こるのは、投資対象を探して余剰資金が行き先を失うためです。もし新興国がしっかりとした需要を育て余剰資金が吸収できるなら、結果的には世界経済が円滑に回るかたちになります。新興国が確実に経済発展を遂げることに対しての期待値は今まで以上に高くなるでしょう。そのための協調関係はいままで以上に強く求められると思います。中期的にみると、中国経済にとってプラスの効果はないものの、中国自体が活躍するという場面が今まで以上に大きなポーションを占めるようになるでしょう。

 

――中国経済は欧米と同じような危機の状態に陥ると思いますか。安定成長はこれから続いていきますか。

政府の舵取り次第ですが、中国政府が持っている金融政策にしても、行政指導の能力にしても、コントロールする余地を相当多く持っていると思います。それが上手に機能すれば、欧米と同じような状態にはならずに済むと思います。

 

――中国国内でも盛んに議論されていますが、中国企業は日本と同じように海外買収を行うべきだと思いますか。中国企業の海外買収についてのアドバイスをお聞きしたいです。

慎重に考えるべきですが、中国企業にとってはすごくいいタイミングだと思います。日本企業にとってもそれは同じで、各社が検討しています。日本の企業がグローバル化をしていく中で、海外企業の足場がほしいと思っている産業は多いです。

中国の製造業の分野を想定すると、技術開発力を持った企業をどうやって傘下に入れるかは大きなテーマだと思います。また、人材のマネジメントは中国企業のなかで意外に十分に研究されていません。エンジニアがモチベーションをちゃんと維持して、会社の中に残ってもらえるという仕組みを作るのが一つのポイントだと思います。生産力という意味では中国本体の方が競争力のあるものを持っているわけで、中国の企業がもう一段力をつけるとすると、技術開発力をどうやって手に入れるかというのを対象とするM&Aはひとつあるでしょう。

「人民網日本語版」より2008年11月25日

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