世界消費者権利デーだった3月15日前後、フォルクスワーゲンは「ドイツ製」や「世界初」という話題を持ち出し、激しくPRを展開した。リコール問題では「豊田章男氏の涙」が結末になったトヨタ。それに対して「満面の笑顔」だったのは、フォルクスワーゲンなどの欧米自動車メーカだ。
トヨタの人気低迷で、メディアは中国一のシェアを占めるフォルクスワーゲンに好意の目を向けた。ネットでは「フォルクスワーゲンがトヨタを超える時が来た」といった持ち上げ記事が広がり、フォルクスワーゲンの品質重視のイメージは徹底的に広がるだろう。
世界消費者権利デーの直前、フォルクスワーゲンはドイツでの記者会見で重要戦略を発表した。その中で特に注目を集めたのが中国での戦略だ。
まず3年間以内に7モデルの新車を出し、2013年には新工場が完成。またトヨタを焦点にハイブリッドカーや電気自動車を出す計画だ。フォルクスワーゲン中国のウィンフリッド・ファーランド総裁はこう公言する。「中国自動車市場の予想を10%から15%を15%から20%に調整し、もともと計画していた44億ユーロの投資を大幅に増やす」
フォルクスワーゲンが「神格化」される中で不調和音も聞こえてくる。世界消費者権利デーの前後に発生した「ラヴィダ」の自然発火や、「ジェッタ」のブレーキが利かなくなるというニュースは、持ち上げ記事の中では雑音にしかすぎない。しかし以下のようなメディアの報道もある。この数年、上海フォルクスワーゲンの車は数十件の自然発火を起こし、それはほとんどの車種に及んでいる。事故に関しての説明は、ユーザの不適切な使用や改造、ディーラーでのメンテナンスを受けていないというものが多く、メーカ側は責任を取ることを拒否している。