そのほか、こうした解釈は1952年に調印したいわゆる「日台和約(日本では日華平和条約といわれている」を考慮に入れたものだというが、この条約も中国政府は認めていないものだ。中国には1つの政府しかなく、それはすなわち、中華人民共和国政府だ。台湾と調印したものは中国にとっては不法なものだ。まして、「日台和約」にしても、国民党権力の統治地区に有効という条件がついている。
そのため、「中国政府は中国国民を代表して全面的に請求権を放棄した」という解釈は明らかに間違いだ。外交部の報道官は2007年4月27日、「中国政府が『中日共同声明』で日本国への戦争賠償請求の放棄を宣言したのは、両国人民の友好的共存に目を向けた政治的決断だった。われわれは日本の最高裁が中国側の度重なる交渉を顧みず、この条項を勝手に解釈したことに対して強く反対するものである」と厳しく発言したことがある。
請求権の問題をめぐって、原告と被告の西松建設の間の意見の相違は非常に大きかった。それで、双方の意見が一致していないところを和解条項に書き入れなくていい、あるいは双方の意見をともに書き入れればいいと原告側が主張したが、「一字も改めることはできない」と西松建設側は主張した。それは傲慢で強要そのものだ。
強要の目的とするところは本当に和解だろうか。決して違うと思う。和解を今後このような事件の解決のパターンとすることにより、西松建設は「請求権を放棄した」ことを先決条件にしようとしているのだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年4月28日