質問:太地町の漁民たちにとって、イルカはただの「大きな魚」であり、イルカ肉も豚肉や羊肉と同じ「食べ物にすぎない」と言います。このような考え方は合理的でしょうか?食物連鎖、食品工業、環境保護の間には、大きな矛盾が隠されているのではないでしょうか。野生動物の保護はなぜこんなにも難しいのでしょう?
常紀文:機械化された農業社会においては、牛は食物の源となる動物です。牛を殺すことで、生態は損害を受けません。これとは違い、鯨類は海洋生態の有機的な一部分であり、過度の捕殺は地域の生態に損害をおよぼします。このような損害は日本の利益だけでなく、他の国の海洋利益も損ないます。つまりこのような「伝統」は、環境保護の原則にそぐわないのです。
周永生:食物連鎖、食品工業、人類のニーズには、確かに矛盾が存在しています。これは人類が自分の利益を中心にしている限り解決が難しい複雑な問題です。この面において、私たちは古代の賢者たちの教えに学ぶべきだと思います。釈迦はかつて、「衆生平等(生きとし生けるものはみな平等)」、「肉を食べる者は、広大無辺な慈悲の種を断つ」など、深い言葉を残しています。私たちは肉食を断絶することはできませんが、環境保護と人類の持続可能な発展のため、世論や教育的に菜食主義を提唱していくべきだと思います。これは健康にも役立つことです。
孫英春:イルカは食物ではありません。現代において食べ物の意義というのは、広く普及でき、普遍的な栄養を持つものであるべきです。しかも、裕福な日本人はすでに、イルカにたんぱく質の摂取を頼ってはいません。
食物連鎖、食品工業、環境保護の間にある矛盾をなくすには、利益を共有する協調性と選択が必要です。この利益の共有こそが、人類の未来です。野生動物の保護における困難は、食品業界や政府の決定が、目先の利益から切り離せないことからくるのです。
日本は、動物・環境保護の面でしっかりとした模範を示さなければ、世界中からの非難が集まる道を歩き続けなければならず、影響力のある現代国家には永遠になれない、ということをはっきりと知るべきです。