6月末、80年代以降の著名作家である、西尾維新の代表作、『刀語(カタナガタリ)』が中国に進出することとなり、江蘇文芸出版社から市場に送り出された。この本の最大のウリは、シリーズ合計で200万冊を売り上げたライトノベルであるというところだ。輸出版の著作権を持つ講談社は、「この本を読むことで、より多くの中国読者の皆様が日本のライトノベルのファンになってくれることを願っている。」と話した。この本は、北京図書大厦文学ランキングのトップテンにランクインしたこともある。とは言っても、『刀語』に代表されるライトノベルが中国で売れる目処が立ったわけではない。「日本のライトのベルは中国の人には合わないかもしれない。」という業界関係者もいる。出版社側としては、中国市場ではゆっくり売り上げを伸ばしていければ良いということだ。
20年間、日本のライトノベル人気は衰えない
日本講談社のベテラン版権マネージャーである鄒凱氏が言うには、ライトノベルは1975年から78年の間に日本で見かけるようになり、1989年からヒットを飛ばし始め、今日までに、多くのベストセラーが誕生しているという。また、「ライトノベルの最大の特徴は主な読者が中高生で、彼らを中心に30歳前後の若者層まで人気が広がっているというところである。そして、表紙や挿絵にマンガやアニメ調のイラストレーションが多用されているということも人気を得た大きな要因と言えるだろう。」と彼は話している。
中国の読者には合わないのか?
日本でベストセラーになった本であれば大抵、中国でも売れている。たとえば、『窓際のトットちゃん』、『1Q84』や、推理小説なども良く売れている。しかし、『刀語』が中国で日本のライトノベルが流行るきっかけになるかどうかはまだ見当が付かない。
雑誌『東西漫画社』のベテラン編集者である優菲氏は、日本でライトノベルが売れるのは、長年かけて築いてきたマンガ文化と大いに関係すると言っている。「日本はもともとマンガ大国であり、マンガやアニメが好きな人は年齢層の面においても、人々が持っている文化的な潜在能力においても、中国より幅広い。中国はと言えば、マンガやアニメを見るのは小・中学生が主で、読者層も非常に狭い。この違いが、多くの、日本では流行ったアニメであるにもかかわらず、中国ではそこまで注目されなかったという現象を生んだ。例えば、去年、中国で放送された『咲―saki―(中国タイトル名:天才麻雀少女)』は日本では人気だったのに対し、中国ではあまり反響がなかった。その原因こそ、中国ではマンガやアニメが好きな人は日本よりも遥かに少ないというところにある。その為、ライトノベルもそこまで多くの読者を獲得することは出来ないのではないだろうか。」
中国進出は今がチャンス
鄒凯は、優菲の意見に必ずしも同意している訳ではないようだ。彼は、ライトノベルが中国に進出するには、今が一番良い時期であると言っている。たとえ、中国のマンガ・アニメ文化が、まだ日本ほどは根付いていないとしても、市場は徐々に形成されていくであろうということだ。『刀語』の売り上げ予想はおよそ3~5万セット、即ち36万~60万冊である。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年7月19日