日中友好協会の朽木光晴事務次長に初めて会ったのは、2年前の春に杭州で日本青少年訪中団の取材をしたときだった。今年は日中友好協会成立60周年にあたるため、再び朽木事務次長に中日交流の現在と将来について話を聞く機会ができた。時間が経っても、朽木事務次長の中日友好交流に心血を注ぐ姿勢は変わっていない。
(一)2年前の中日青少年の交流の現場
2008年は中日両国政府が決めた中日青少年友好交流年で、2008年から2012年まで、毎年4000人の両国の青少年が相互訪問を行うことになっている。2008年春、第1陣の500人の青少年代表団が訪中し、私はその中の大学生分団に同伴し、上海と杭州に向かった。新鮮なまなざしで中国のあちこちを観察している日本の若い人たちを静かに見守る朽木事務次長の姿があった。
日本の青少年たちの訪中前の準備――合宿
「今年はこれで第3陣です。別の代表団もありました」と、よく代表団を連れて訪中する朽木さん。日本の青少年たちの訪中前の準備について、「この団は9日間ですが、沖縄から北海道の人が参加するので、互いに知りません。なので、来る前に全員東京に集まります。皆忙しいので、1カ月前にたった1泊、昼から次の日の昼まで皆で合宿し、互いに知り合って団結します。1泊した後は会わなくても、この1カ月でメールなどで連絡できます」と説明した。
青少年たちが相手国を訪問した後の感想は、「全然違う」
相互訪問を通じて、青少年たちの相手国に対する印象にはどんな変化があったのだろうか。これについて、朽木事務次長は「終わった後で毎回アンケートをとります。ほとんどの人は来る前より中国のことがわかって、中国が好きになったと言います。やはり『百聞は一見に如かず』です」と語る。
また、「中国の若者も皆、もちろん中国にいるときに雑誌を見たり、テレビを見たりして日本の情報がたくさんあります。でも初めて日本に来て、『全然違う』と言います。『お爺ちゃんお婆ちゃんから聞いた話は違う』。『何が違うかわからないけど違う』と。やはり来て感じることは違うのです。交流するのが大事です。それが私たちの仕事です」
訪問する前に青少年たちを説得しようとはしない。「来る前に中国はこうだ、こうしなければならないとは言わない。気持ちは日中友好ですが、自分の目で見て自分で感じてほしい」と朽木事務次長は語る。
訪中で結ばれたカップルもいる
相互訪問の効果について、朽木事務次長はこう語る。「たとえば、中日青少年友好交流年の訪中団とは別に、百人団もあります。1998年、江沢民主席が日本を訪れたとき、小渕首相と決めました。99年から、毎年百人の20-30歳の青年からなる日本青年代表団が訪中しています。2007年まで900人近くが訪中し、その中の5人が中国人と結婚しました。1人はその団がきっかけで上海の人と結婚したのです」
結ばれたカップルがいるほか、訪中団がきっかけで中国に留学したり、中国の企業に勤めたり、中国の学校でボランティアとして先生になったり、色々な活動をする日本人が増えたという。