現段階では、日本政府はJBICの助けを借りて、関連企業と協力し、豪州と英国の6つのインフラ整備プロジェクトの入札準備を行っており、これには、豪クイーンズランド州ゴールドコースト市の次世代路面電車システムの建設及び英国の洋上風力発電所建設などが含まれる。
先進国のインフラ市場の強行占拠を拡大すると同時に、日本は引続き発展途上国のインフラ整備プロジェクトの争奪も強化している。
日本関西電力美浜原子力発電所
10月31日、日本とベトナムは原子力発電所建設で基本合意に達した。建設計画中のこの2基の原子炉はベトナムのニントアン省に位置し、規模は100万キロワット。初期計画では2014年に着工、2020年に運転開始の予定で、総事業費は1兆円規模になる。先月22日に日本が設立した、「国際原子力開発株式会社」がプロジェクトを請負う。この企業は官民共同経営の性質を備え、東芝、三菱重工、日立の原子炉メーカー3社と東京電力など電力会社9社で組織され、経済産業省がまとめ役となった。これは、今年6月に日本政府がインフラ輸出政策を推進して以降、外国政府からの受注に成功した初の大型案件である。
実は、日本以外にも、韓国やフランスもニントアン省での原子力発電所建設プロジェクトを奪い合っていた。これ以前には、日本企業はアラブ首長国連邦、ベトナム(第1期事業)の原子力発電所建設プロジェクトで、それぞれ韓国とロシアの企業に敗れている。そこで、日本は政府の力を使っての遊説を開始した。今年3月、JBICの国際経営企画部長・前田匡史氏はハノイを訪問し、ベトナム側に日本の原子力技術を売り込んだ。5月、当時の前原誠司・国土交通大臣と仙谷由人・国家戦略担当大臣が経済界のリーダーを伴いベトナムを訪問。6月、菅直人首相はベトナムとの交渉を担当させるため、前田匡史氏を内閣官房参与に任命。8月、国際原子力開発株式会社の代表・武黒一郎氏は当時の直嶋正行・経済産業大臣を伴いベトナムを訪問し、ベトナムのグェン・タン・ズン首相などの政府要人と会談した。