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この事件からまもなく、今度は東京都渋谷区で事件が起きた。歯科医師の両親を持つ次男が妹を殺害しバラバラに切断した事件は、一層大きな話題を呼んだ。日本で医者と言えばお金持ちである。この医者の家族内で起きた惨殺事件は、華やかな舞台の裏でうごめく「闇」を露にした。この事件の動機は近親相姦の可能性があるのではないかという話が、世間に出回っていた。被害者の長女と父が関係を持っていて、兄がそれを恥じて怒りのあまり衝動的に殺害したとか、兄と妹の間に「禁断の愛」が芽生え悲劇に至ったのではないかなど憶測は様々だ。このような世間の反応は、実は他人の不幸をいい気味だと思っている心理から来ている。人々のお金持ちに対する一種の妬みがそこにはあるのだ。
そして、警察の捜査によって明かされた事件の真相のどこにも加害者の近親相姦についての動機は浮かんでこなかった。そしてこの事件にはもうひとつおかしな話がある。それは警察が凶器として押収された木刀、のこぎりと家族が着ていた衣類などの重要証拠品を「ゴミと間違えて捨ててしまった」ことだ。他の国だったら、黒幕が居るのではないとか何か見えない陰謀があるのではないかと言う憶測が乱れ飛んだだろう。
家族内殺人事件の増加を振り返るとき、日本人はすぐに近年の貧困差の拡大など経済のなかにその要因があると言いたがる。しかし、最も要となるものは日本社会の文化の底辺にあるのではないだろうか。日本の芸術作品には、家族の愛情をテーマにして人々の感動を呼ぶ作品が多いが、それはあくまで作られた作品に過ぎない。一人一人の個人としての日本人は社会の中での関係や自分の役割を大切にし、家族関係をおろそかにする。そして、時代の変化に伴い、更にひどくなっていく。例えば、「核家族」の急な増加こそ、家族内殺人が頻出する元凶である。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年12月14日