東京では、福田康夫元首相と会見した。劉遅氏と福田氏は、福田氏がまだ政界で要職に着く前からの旧知の仲である。福田氏が訪中した際に劉遅氏が全行程随行したこともある。80年代、劉遅氏が駐日中国大使館で政務参事官を務めていたときも、二人は頻繁に接触していた。
98年春、新華社世界問題研究センターの副主任であった私は、訪日取材の際に福田氏にお会いしたことがある。福田氏は遠見卓識の政治家であり、人柄は親しみやすく、中国に対して友好的で、歴史問題も深く認識している。非常に情に厚く、要人になってからも、劉遅氏が訪日した際には多忙の中、古い友人と会う時間をつくる。今回の会見では、現在の日本の政局に対する自身の見方について重点的に語った。中日関係に関しては、現在は困難に直面しているが、未来に目を向けるべきだと言った。
日中協会の白西紳一郎理事長は私たちのために開いてくれた歓迎の昼食会の席上、「日中関係史からみると、両国の民間団体の交流は一貫して非常に重要な役割を果たし、両国関係が困難に直面しているときこそ、民間の交流に力を入れなければならない。日中友好7団体は日本において大きな影響力を持つため、これらの役割を重視すべきだ」と語った。
日中協会顧問で、元インド大使の野田英二郎氏もこの昼食会に出席されていたが、昼食会のあと、氏の中日関係に対する見方が記された長い手紙をいただいた。そこには、「現在中国は世界の経済発展の最大の動力であり、これはすでに国際社会のコンセンサスである。中国の周辺国はいずれも、中国経済との相互依存は欠くことができないとはっきり認識している。日中間の友好関係は72年に『共同声明』が発表されて以来、一部曲折もあったが、全体的には着実に前へ進んでいる。現在は「戦略的互恵」の段階に入り、両国は友好的協力を進めるほかに選択肢はない。日中関係の発展は逆戻りすることはできないのである」と書かれていた。(筆者:丁永寧 新華社高級記者、新華社世界問題研究センター研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年1月19日