菅直人首相の有力な後任候補として期待されていた前原誠司外相(48歳)は、4月に「政治資金規正法」が禁止する外国人からの献金5万円を受け取った問題が、「容赦ない」野党によって暴かれた。前原氏は2日間後に謝罪を行い、責任を負うために辞任を表明し、日本のイメージの潔白さを守った。
菅直人改造内閣発足後、汚職のスキャンダルで失脚した上級職官僚は前原氏が初である。しかし、日本の近代の歴史を見てみると、前原氏は決して「初めて」でもなければ、「唯一」でもない。責任を取るために辞任した細川護煕元首相、検察に追われててんてこ舞いの小沢一郎氏などがいる。これまで日本では、汚職事件で退散した政治家が再び表舞台に帰り咲いた例はなく、他の場所で復活することもない。そのため、政治界の「スター」だった前原氏の今回の「自分への処罰」は、いつの日か起死回生するために資金を地道に蓄えるためではないだろう。
今回の事件で、前原氏の責任は「わずかな汚職」だった。受け取った献金は人民元にしてたった数千元の日本円で、しかも、この「わずかな汚職」は職権を濫用した収賄ではなく、受け取ってはいけなかった「政治献金」にすぎない。以前、不透明な政治資金収支報告書により、世間に顔向けできずに首吊り自殺をした元農林水産大臣の松岡利勝氏に比べれば、その罪は大きくない。
第二次世界大戦で焼け野原になり、今日まで這い上がってきた日本はなぜ、そこまでクリーンな政治にこだわるのだろうか。
1948年、日本は欧米諸国の政治を見習い、アメリカの法律システムに従って「政治資金規正法」を制定した。度重なる修正と追加の末、2000年には、この「政治とカネ」のルールは5万字にも上る巨大な法律となった。日本は西洋学の理論を受け継ぎ、政治とカネは切っても切り離せない関係だと考えている。そして、そこには秩序が必要であり、「政治」と「カネ」の流れは常に白日の下に明らかにされていなければいけない。それによって、国民は党と政治家の品格や法を守っているかをチェックし、判断を下すことができる。「政治資金規正法」は政治家が外国人、或いは外国の企業から献金を受け取ることを禁止している。前原氏が犯したのはこの主軸となる規定だった。「厳格に禁止」されているなか、たとえたった少しの金額でも、違法行為であり、決して許されないのだ。
日本の汚職に関する法律は「規正法」だけではない。「国家公務員法」には、同じ拘束力を持つ「国家公務員懲戒規則」と「公務員理論法」がある。2008年、財務省の職員が残業し、深夜に公費でタクシーを利用して帰宅する際、タクシー運転手からビールやおつまみ、商品券や図書券などを受け取った、いわゆる「居酒屋タクシー」問題は、汚職事件として大きな騒ぎになった。「国家公務員法」によって、33人が懲戒処分、11人が減給処分、21人が戒告処分となった。これにより、財務大臣は責任を取るため、2か月分の給料を返還し、なんとか辞任を免れた。
前原氏の辞任は、日本政府の財政予算案が「通りにくい」ことにも関係する。2011年度の予算審議を順調に進めるためには、前原氏は迅速な行動をとり、野党の怒りを早く静めなければならなかった。もし予算案が可決されなければ、内閣総辞職は免れないため、菅首相の地位も危うい。ここまでの「大惨事」を避けるためにも、前原氏は法律制度の前では素直に従うしかなかったのだ。(和静鈞)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年3月8日