野田新内閣成立直後、米国との間で日本人の神経を逆なでする2つの出来事が起きた。
野田佳彦氏が首相に選出された日、米国務省のヌランド報道官は記者会見で、野田新首相は日本で何人目の首相になるのかとの記者の問いに「知らない」と苦笑するなどしていた。政府の記者会見という厳粛な場でのこうした態度について、日本を尊重していない、日本の短命政権を揶揄(やゆ)するものだと指摘する声があり、日本で大きな波紋を呼んでいる。ヌランド報道官はすぐに、「悪意はなく、日本の政治プロセスには疑う余地のない敬意を払っている」と釈明した。香港紙・大公報が6日、伝えた。
今回の「苦笑い問題」が誤解に過ぎないのであれば、オバマ米大統領の「直言問題」よりもその影響は大きい。今月1日、野田氏が新たに選出された首相という身分で礼儀的にオバマ大統領と電話で話した。本来形だけのあいさつにすぎないのに、オバマ大統領は日米間の最も敏感な軍事基地問題について遠慮することなく言及し、新首相に米普天間基地の移転を最優先で解決するよう求めた。日本の新首相は就任するとまず米大統領に電話する。外交マナーとしては、電話では礼儀的なあいさつをするだけで、実質的な内容、特に両国で未解決の敏感な問題には触れない。オバマ大統領のように日米関係の主題に直接切り込むのはいたって珍しいことだ。
誤解にしても、要求にしてもこの2つの事件は日本に対する米国の複雑な心境をあらわしている。
過去に日本は世界大国の夢を再び実現しようとしていたが、内外の制約によりその力がないことを自覚し、日米同盟は大きな問題はなくなる。ところが民主党に政権交代後、「東アジア共同体」政策を主張し、米国と平等かつ正常な国家関係を求め、米国を激怒させる。日米同盟という土台を守ろうと米国はあらゆる手を使い、ようやく鳩山氏を退陣させ、普天間飛行場を名護市辺野古区に移転することで日本と合意し、両国間の最も敏感な問題はようやく答えが出たが、菅氏の執行力には限界があり協議はいつまでたっても紙面にとどまった。
米国の立場からすると、普天間基地の移転問題はできるだけ早く解決する必要がある。近年、米国は戦略の重心をアジアに移している。「アジア復帰」戦略を実現する上で最も重要なのが日米同盟だが、軍事基地問題を解決しなければ日米同盟は安心とはいえない。米国は現在出費を抑え効率を高めようと全世界の軍事配置調整を行っている。特にアジア太平洋における米軍の配置調整は普天間基地の移転によって決まる。この問題が解決しなければ、米軍の調整は進まないのだ。
米国は「よく変わる」日本に対し根気を失っており、野田新内閣が果断に問題を処理し、基地移転問題を迅速に解決することを期待している。しかし就任したばかりの野田氏にとってこれはかなり手ごわい難題だ。米国の圧力と国民の反対のバランスをいかにうまく取るか、その能力が試される。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年9月7日