日本は近ごろ、釣魚島問題で絶えず行動を起こしており、その動きは今後も続くと見られる。この裏には、無視できない2つの要因がある。それは部門利益と焦燥感である。
釣魚島問題及び「南西諸島」問題は、すでに日本の防衛省、国土交通省及びその他の関係部門が利益を獲得するため、あるいは利益を守るための道具となっている。
日本政府は財政難に苦しみ、債務残高は増える一方だ。各行政部門は予算削減を強いられ、野田首相は就任後に一律1割の予算削減を各部門に言い渡した。普通から見れば、ただの数字の変化に過ぎないが、各部門にとって予算は肝心な存在だ。
ある中央省庁の公務員はかつて、次のように記者に話した。所属する部門が「それほど重要でない」と見られ、40%の予算削減を要求された。様々な手を尽くして「存在感」をアピールし、やっと削減額を縮小してくれたという。こうした背景のもと、政府の各部門は重要性のアピールに躍起になっている。「釣魚島」も予算確保のための切り札となり、防衛省が予算削減ブームの中で象徴的な影響しか受けなかったのは、「中国脅威論」の吹聴による効果がかなり大きい。
最近の例を挙げると、日本の海上保安庁が2月6日に発表した「海上保安レポート2011」では、これまでと比べて釣魚島問題に関する記述が大幅に増え、海保の船が釣魚島周辺で航行する写真が多数の項目のトップページに掲載された。釣魚島の状況を紹介する章節があるほか、「日本の海を守る」というサブタイトルで、中国の海洋監査や漁政などの船の活動ぶり、海保のパトロール状況を記述した。通常、日本の国会は3月31日までに来年度予算案を審議することになっており、海保によるレポートの発表はちょうど予算案審議の時期と重なる。
また、中国の急速な発展や中日の実力差の急激な変化に伴い、日本国内の一部の人たちは焦燥感にかられ、中国との今後の駆け引きに向けて釣魚島に対する実効支配を早期実現させたいと考えている。こうした考えのもう一つのポイントは、米国を釣魚島問題に引き込み、日本の後ろ盾にすることである。「産経新聞」は社説の中で、日米両国が釣魚島周辺で合同軍事演習を実施することを提言し、日本の実力や将来性に対する自信の欠乏を物語っている。
この2つの要因から、日本政府は今後もチャンスを捉え、釣魚島問題でさらなる行動を起こす可能性が高い。「部門利益」より、「焦燥感」が及ぼす影響はもっと大きい。「部門利益」のために出された政策は、利益が守られればさらに行動を起こすことはない。一方、焦燥感はそうでなく、情勢を誤って判断したり、政策がもたらす悪影響に対する認識が欠けたりすれば、一部の部門が冒険的な行動に走る可能性は十分にあり、これに警戒する必要がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年2月16日