日本映画とカンヌ映画祭の関係をひもとけば、64年の歴史があるカンヌ映画祭において、最高章であるパルム・ドールを受賞した日本映画は3作品(中国はわずか1作品)。審査員賞も3回受賞しており(中国はわずか1回)、監督賞、俳優賞などでも素晴らしい成績を収めてきた。日本映画がアジアの芸術作品市場を牽引してきたと言われるゆえんである。一方、黒沢明や今村昌平、大島渚といった巨匠の亡き後、日本映画は人材不足に陥ったとも言われる。三池崇史や是枝裕和、園子温など新世代の映画監督が注目されてはいるものの、パルム・ドールまでの道のりは険しい。世界に注目される中堅監督もいるが、人を驚愕させるような作品は最近の日本映画からは出ていない。
伝統が日本映画の足かせに
近年のカンヌ映画祭は新しいものを積極的に求めている。一方、依然として日本映画は、大和民族の頑固さや形式主義を保持し続けている。主題にはいくらかの新味があるが、技法の革新や文化的枠組み飛び越えるのは苦手に見える。現在の日本の中堅監督たちは、安易に先達たちからヒントを得ようとしているようだ。しかしこのような保守的な伝統の継承こそが、日本映画が近年カンヌ映画祭で脇役に追いやられている原因となっているのではないだろうか。評判や市場的価値が悪いわけではない。しかしパルム・ドールを受賞するには至っていない。そしてそのような苦境は、全ての東アジアの文芸映画が陥っている問題でもある。
アジア映画の発展の歴史を見ると、常に日本が芸術映画の最前線にいたことが分かる。新しい風格の構築をしてきたのみならず、かつての日本の巨匠たちはヨーロッパ主流映画界に異議を唱えてきた。日本映画の発展は、中国や韓国などのアジア諸国より良好で安定している。しかしその長期的な安逸こそが、2000年以降の日本映画が徐々に国内市場に固執し、グローバルな視点で見て魅力のない映画ばかりの状況をもたらした。そしてこのような状況になった真の原因は、日本の観客が日本映画に愛着を持ち、擁護していることにある。このようなケースは世界的に見てもまれである。ハリウッドの世界的展開によってアジア諸国の映画市場はすでに「占領」されているからだ。日本は挙国一致で国産映画至上の旗を振っており、ハリウッド大作の度重なる爆撃を払いのけている。
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2012年4月の興行収入を例にとると、上位5作品のうち日本映画ではないのは「バトルシップ」だけだった。7.53億円という興行成績は、アジアで売上記録を塗り替えた「トランスフォーマー」の成績から考えれば意外な結果である。この数字は中国市場でみても大した金額ではない。平均所得や宣伝コスト、運営コストなどが高い日本ならなおさらである。中国市場で1億元以上の売上となったハリウッド大作「タイタンの戦い」と「ジョン・カーター」も、日本ではトップ5入りを果たせていない。「ジョン・カーター」はやっと10位、「タイタンの戦い」などはさらに悲惨で1.28億円という散々な成績となった。ハリウッド映画上位3作品の売上を合計させてやっと、日本のアニメ映画「名探偵コナン 11人目のストライカー」の売上になる程度だった。
ハリウッド大作が日本市場で伸び悩んでいるのは偶然ではない。しかし日本国民は、外来文化を排斥したり、反発したりしているわけではない。対称的なものとして、日本の音楽・ライブ市場において、欧米の様々な有名スターが日本をアジア公演の主戦場としている。チケットの売上が見込めることもあるが、日本国民の中に親米傾向があるためである。にもかかわらず、ハリウッド大作はなぜ日本市場で興行成績を伸ばせないのか。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年5月15日