資料写真:フィリピンの護衛艦
「痩せて死んだ駱駝でも馬より大きい(「腐っても鯛の意」)」という諺の通り、日本の国内経済は20年余りという長期的な不景気に陥っているものの、その経済全体の実力は台頭し始めたばかりの新興国に比べると、やはり比べようが無いほど強大なものだ。国際社会への責任を果たし、国際的なイメージアップを図るため、日本は毎年、開発途上国への政府開発援助(ODA)を行なっている。しかし、ここ2、3年、日本政府のODAは経済的な目的だけでなく、その用途は静かに軍事戦略の方向に向けて歩み出している。
フィリピンメディア18日付の報道によると、フィリピン国防部長は、日本がフィリピン海洋警察に少なくとも10隻の巡視艇を提供する予定であることを認めている。2011年12月、武器輸出制限が緩和されて以降、日本が他国に武器を提供したのはこれが初めてである。日本TBSテレビの報道によると、日本はマレーシア、ベトナムにも同様に巡視船を提供するという。
「世の中、ただのものはない」。日本がフィリピン、マレーシア、ベトナムに提供した巡視艇は、日本が援助したODAの資金を使って購入されている。一方、日本がODAを利用して、軍事援助を行う目的は、隣国の国家防衛のためだけでは決してない。
まず、日本が積極的にフィリピン、ベトナム、インド及びマレーシアなどの国に軍事援助するのは、実質、アメリカの「アジア回帰、中国けん制」戦略に足並みを揃えるためである。
2012年3月に行なわれた日米首脳会談で、米国防省は特に「中国をけん制することが目的である『空・海一体戦闘』構想」について、日本の防衛省に説明し、日本が積極的な役割を果たし、今後、東アジアで紛糾が発生した場合に、中国側が米軍の介入を阻止することを防ぐことを望んでいる。また、駐日米大使は「地政学上から見ると、中国は14カ国と国境関係を持っている。我々は中国の軍事力資源の分散に努める必要がある」と話す。アメリカの戦略計画について、日本は言われなくともはっきり理解しているだけでなく、行動でもしっかりと歩調を合わせている。そして、日本はODAを利用して中国の周辺国家に武器を提供し、つまりは中国を囲む敵陣を形成し、地域で紛糾が発生した時に事態を混乱させ、そこから「漁夫の利」を得ようと企んでいる。