フィリピンは日本に近づいて中国をけん制し、日本を引き込んで南中国海をかき乱している。日本は資金を出してフィリピンの軍事強化に協力するなど連携を強めている。現在こうした情報を度々耳にする。日本とフィリピン間の頻繁な動きに北京の注意が向けられている。香港紙・亜洲時報が伝えた。
5月中旬、在中国日本大使館のある外交官は同紙に対し、日本は1千トン級の大型巡視船など巡視船12隻を年内にフィリピンに提供し、フィリピン海軍の海上保安能力向上に協力することを明らかにした。フィリピンにとっては、ほとんど何もせずに沿岸警備力を大幅に高めることができる。同外交官は、現在日本で働いたり、生活するフィリピン人は22万人を超え、両国間には領土や歴史など未解決の問題がなく、スムーズな交流ができると話す。
4月下旬、日米は在日米軍基地移転に関わる協議で合意、長年日米関係に立ちはだかっていた在日米軍基地移転問題が大きく進展した。注目すべきは、この協議に日本とさほど関わりのないフィリピンが盛り込まれたことだ。在日米軍再編計画によれば、日本は今後も政府開発援助(ODA)借款の「外交戦略的活用」をうまく行っていくという。つまり、南中国海で中国と領土をめぐって争うフィリピンやベトナム、マレーシアに巡視船などの装備を提供するということだ。
中国とフィリピンの黄岩島での対峙は硬直化しており、今のところ打開の糸口が見つかっていない。両国の関係が不穏になれば、フィリピン在住の中国人の状況が危ぶまれる。中国企業も現在の投資が両国の政治関係の悪化によって影響を受けることを懸念している。これがフィリピン経済に新たな動揺となるのは必至だ。
◇中国の領有権への意志を甘くみたフィリピン