米国が「アジア回帰」を叫ぶ中、1世紀半近く「脱亜」してきた、本来アジアにある日本は「回帰」する様子がない。日本政府が「東アジア共同体」を提案することもほとんどなくなった。
米国の「アジア回帰」または「東への戦略的シフト」の重要な目的は、世界経済の重心が東へシフトするのを利用して、アジア太平洋地域の経済成長から活力を汲み取ることで、中国をリーダーとする新興国の集団台頭によって米国の覇権的地位や西側中心主義が弱まるのを防ぐことにある。ただ、米国は同盟国である日本と共にアジアに回帰するのを望んでいない。例えば南中国海問題では、領有権問題で中国と争うアジアの小国、フィリピンやベトナムが中国に楯突くのを支持。これは明らかに日本のアジア派の政治家が主張する「脱亜」から「アジアへのリターン」、アジア諸国の団結を旨とする「アジア回帰」に反する行動だ。
経済のグローバル化の大潮の中で、経済分野において日本はアジアにどんどん溶け込んでいる。特に中国は数年前に日本最大の貿易パートナー、輸出対象国となった。日本の「アジア回帰」はその根本利益に適い、「欧州は先進的、アジアは後れている」というアジア人の数百年に及ぶ悪夢を終わらせ、アジアの平和と発展を推進し、「アジア振興」という大きな目標実現に向けた要望でもある。
では、日本はアジアに回帰できるのか?それは、現状を見る限り非常に難しいといえる。理由は、日本の「アジア回帰」と米国の「アジア回帰」が相対するからだ。米国からすれば、中日が団結すれば、米国のアジアでの「存在感」が薄くなり、利益が削減する。1971年の沖縄返還の際、米国は中日間に釣魚島問題という「地雷」を埋め、その領有権をめぐる摩擦で両国が近づかないようにした。それが米国が考えた中日関係だ。