「米軍のアジア太平洋における中国抑止」という幻想を抱く人たちは、中米が世界の様々な場で真っ向から対決することを望んでいる。ところが、6月3日に閉幕した第11回アジア安全保障会議(シャングリラ対話)は彼らを落胆させた。
パネッタ米国防長官は、2010年東南アジア諸国連合地域フォーラムでヒラリー・クリントン米国務長官が行ったような中国に対する不当な非難をしなかった。
日本とフィリピンは「中国の包囲攻撃」を期待
英シンクタンクの国際戦略研究所(IISS)が発起し、シンガポール政府が開催するアジア安全保障会議(シャングリラ対話)は2002年に始まり、今回で11回目を迎えた。会議は以前それほど注目されていなかったが、米国は2010年にアジア回帰を主張し、南中国海問題に介入するようになり、特に米国防長官が会議に出席することにより、アジア太平洋諸国の関心を集めるようになった。
会議ではアセアン諸国、中国、米国、オーストラリア、日本、インドなど27カ国の国防相や閣僚がアジア太平洋地域の安全保障問題を話し合った。今回の対話は「米国のアジア太平洋における再均衡」「航行自由の保護」「抑止力と地域の安定」「新しい形の戦争:インターネット、無人機と新しい脅威」「世界とアジア太平洋地域での新しいリスク」の5つのテーマに分けて行われた。
近年、南中国海問題が加熱し、フィリピンが起こした黄岩島事件がまだ解決していないことから、「南中国海問題」および「米国の南中国海における中国抑止」などの話題は会議前からメディアに大きく取り上げられていた。
中には、パネッタ国防長官は2010年東南アジア諸国連合地域フォーラムでのヒラリー国務長官と同じスタイルをとり、中国に「大砲」を打ち込み、米国の盟友である日本やフィリピン、オーストラリアなどを引き込み、会議で中国を包囲攻撃することを計画していると見る日本、フィリピンのメディアもあった。