日本の安倍晋三首相は16日、ポーランドで東ヨーロッパ諸国に対して自身の「価値観外交」を再アピールした。安倍首相は今年初め、ベトナム、タイ、インドネシアの訪問を機に、東南アジア諸国で東南アジア諸国連合(ASEAN)と共に「自由、民主主義、基本的人権」の価値観の定着と拡大に向けて努力すると強調した。日本のこのような「戦略的外交」は効を奏するだろうか。日本について、東南アジア諸国にはそれぞれの歴史的な記憶があるだけでなく、現実的な国家利益もある。40年以上前、日本の政治家は「福田ドクトリン」で東南アジアの日本に対する疑いを弱め、日本の同地域におけるイメージを覆したが、戦争直後に生まれた若い首相が進める「価値観外交」は「福田ドクトリン」と全く逆のものである。「環球時報」がこのほど取材したところによると、タイ、シンガポール、マレーシアなどの国の学者は、日本の価値観を使って東南アジアを引き込む、さらには中国を囲い込むという考えは空振りに終わると見ている。マレーシアの第二次世界大戦歴史研究会は同紙に対し、「歴史を忘れることは愚かで無知なことで、歴史を改ざんすることはさらに恥ずべきことである。アジア諸国は日本の右翼思潮の台頭に警戒し続けなければならない」という声明を発表した。日本に対する警戒心があることにより、東南アジア諸国は「価値観外交」に歩調を合わせたりしないだろう。
「価値観外交」は「福田ドクトリン」に背くもの
10日間にわたる第二次世界大戦時の日本軍による暴行の写真展が6月14日、フィリピンの首都マニラにある国家歴史委員会本部で始まった。価値観を使って歴史観を弱めようと目論む安倍首相は、昨年12月の就任から半年足らずで中国周辺のベトナム、タイ、インドネシア、モンゴル、ミャンマーなどを歴訪した。首相は年初めにASEANの3カ国を訪問した際、「東南アジア外交の5原則」を発表し、ASEANと共に「自由、民主主義、基本的人権」の価値観の定着と拡大に向けて努力すると強調した。日本の「産経新聞」などは、首相が東南アジアで「価値観外交」を進める1つの目的は、対中包囲網を形成し、中国が同地域で強める政治と経済の影響力に対抗することだと分析。また、日本は5月下旬に第19回国際交流会議「アジアの未来」を主催し、タイの首相やフィリピンの外相など東南アジア諸国の政治要人を招いた。フィリピンの外相は黄岩島と仁愛礁に言及し、「日本もフィリピンも中国との間に領土紛争がある」とすかさず述べた。