海上安全を誇張
前回同様、安倍首相の今回の訪問先はASEAN諸国であったが、これは日本の海洋安全面の主張がASEAN諸国の「支持」を獲得したことを中国に見せつけ、「理解」させる狙いがある。安倍首相との首脳会談後に開かれた記者会見において、カンボジアのフン・セン首相は「カンボジアは日本企業による投資を奨励する。日本と共に二国間交流を促進していきたい」と表明した。
安倍首相は、「両国は政治安全・民主法治・経済協力・文化交流・地域安全などの提携関係を強化する決意を固めた」と強調した。両者の発言内容を分析すると、その強調する重点が大きく異なっていることが分かる。しかし日本メディアの報道は、「両国の首脳会談は、海洋安全の協力強化で合意した」など、日本の「得点」を示す話題に集中し、安倍首相の「積極的な平和主義」の構想が、カンボジアの「力強い支持」を受けたと宣伝した。しかし安倍首相は、これが「勝手な言い分」であることをよく知っているはずだ。ASEAN抱き込みによる中国包囲は、一方的な願いに過ぎない。
一連の外遊を経て、安倍首相のASEAN外交の方針が十分に定められている。つまり経済を足がかりとし、海上安全などの話題を誇張し、ASEANと中国の仲違いを促し、同時に文化交流などの手段を用い、ASEAN抱き込みによる中国対抗の目的を実現することだ。しかしASEANの力を借り中国を「孤立」させ、「包囲」しようとする日本の愚かな構想が、徒労に終わることは間違いない。(筆者:柳凡 中国元外交官)
「中国網日本語版(チャイナネット)」