この発表は驚愕の事実であるが、日本のメディアはそれ以上に不可思議な反応をとった。日本の五大民放の中でこの重大ニュースを取り上げたのはテレビ朝日だけだったのだ。NHKも早朝5時にこのニュースを取り上げたものの、視聴率の一番高い7時のニュースで扱うことはなかった。本来であれば大きな注目を集めるはずの情報が、こうして闇の中へと葬り去られてしまった。
今月3日、東電は新たに、福島の漁業組合の同意の下、基準値範囲内で汚染された貯水槽内の水を海へ放出すると発表した。海洋の生態や水産品の安全に関わるこの重大ニュースでさえ、報道したメディアはごく僅かであった。7日、福島県内で今日までに甲状腺癌を患った児童は33人に上り、昨年11月時点の26人からさらに7人増えたとの発表があったものの、政府は発病率の上昇と原発事故とを直接結びつけることを認めなかった。
知事選から一夜明けた10日、安倍氏は矢も楯もたまらずに今後原発を再稼動させ、輸出を積極的に進める意向を表明した。なんと悲しい事実だろうか。党派存続と利益のために、日本の政治家とメディアは「チェルノブイリより数倍被害の大きい」福島の原発事故をそっちのけにし、差し迫る天変地異を見て見ぬふりをしたのだ。このように独断的に進められた都知事選は決して正常な選挙戦と呼ぶことはできず、日本が取り返しのつかない原発被害のどん底へと滑り落ちて行くことを意味している。(金贏 中国社会科学院日本研究所副研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2014年2月16日