安倍晋三首相は26日、オランダの核安全保障サミットから東京に戻った。日本メディアは、安倍首相が兵器級核燃料を保有しないと表明したことで世界の懸念を払拭したと評価し、欧州に歴史認識について説明した態度には「誠意」があったとした。しかし日韓首脳のハーグでの気まずい会談について、日本の輿論は隣国の心に残された歴史の傷が癒やされることはないと認めた。韓国メディアは、安倍首相は今回の政治ショーにより、国際世論の批判を一時的に逃れたと報じた。
日本の歴史観を世界に説明することは、安倍首相の今回の訪欧の重要な内容となった。時事通信社は、安倍首相は訪欧中に、日本が歴史を正視する姿勢を積極的にPRしたと伝えた。サミット開幕前に、安倍首相はアムステルダムの「アンネ・フランクの家」を訪問し、「謙虚に歴史と向き合う」と館長に自ら表明した。安倍首相は23日にオランダの首相と会談した際も、自らの「真摯ある態度で過去と向き合うことを重視する」という政治信条について語った。記事によると、安倍首相がこうしたのは欧州の日本の右傾化に対する印象を和らげ、中国が世界で展開している「反日PR」に反撃を仕掛けるためと分析した。
独フンボルト大学ベルリンの国際政治学者のホルトマン氏は27日、環球時報に対して、「安倍首相が今回の訪欧で積極的に歴史認識について説明したのは、靖国神社参拝が欧州に暗い影を落としたからだ。また中国は常に欧州で、歴史問題を巡り日本を批判している。安倍首相は実際には、応戦を余儀なくされただけで、点数を稼いだとは言えない」と指摘した。同日、環球時報の取材に応じた九州大学の某教授は、「靖国参拝後、安倍首相はさらに中日両国を第一次世界大戦前の英独と比べた。世界はこれを受け、軍国主義化への警戒と批判を強化した。中韓首脳もサミットに出席するため、会議のテーマは核不拡散でありながらも、歴史問題を避けては通れなくなった」と語った。AFP通信は、「日本と隣国の関係が低迷している。2月には東京都の図書館で、大量のアンネの日記が人為的に破られた。安倍首相がこの時期にアンネ・フランクの家を訪問したのは、その右翼カラーが引き起こした外交関係の緊張、特に日韓の外交関係の緊張を和らげるためだ」と報じた。
日本経済新聞は、「中日の指導者が欧州を舞台とする、歴史問題のシーソーゲームを展開している。中国は歴史問題で韓国を抱き込み、日本に共同で対抗しようとしている。日本は過去の歴史問題に対する認識を引き継ぐことを明言し、中国の韓国抱き込みを防ごうとしている」と伝えた。
米国在住のコラムニストの冷泉彰彦氏(59)は27日、朝日新聞の取材に応じた際に、「安倍首相の配慮の欠けた言葉と行動は、米国と中国の間の脆弱なバランスを乱しており、日本の利益をも損ねている。欧米メディアの、安倍首相のダボス会議の発言に関する記事を見ると、安倍首相の西側諸国でのイメージが大幅にダウンしていることが分かる。安倍首相はCNNのインタビューに応じた際に、中国は過去20年間で拡張主義の政策を進めてきたと称した。この発言は、安倍首相が本当に中国との関係改善を願っているのかと疑わせる。CNNは、安倍首相の実質的なイメージが形成されつつあると指摘した」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2014年3月28日