安倍晋三首相は8日、オーストラリア連邦議会上院・下院で演説し、トニー・アボット豪首相と「日豪経済連携協定(EPA)」、「防衛装備品と技術の移転に関する協定」に調印した。
貿易・軍事面の利益を餌に、地域の中等大国のオーストラリアを抱き込みある種の同盟関係を結び、日本の戦略的な敵国の孤立化を図る。これは安倍首相の都合のいい計算だ。しかしオーストラリアの多くの学者は、「二つの陣営に分裂したアジアは、オーストラリアの国家利益に合致せず、地域の平和・安定・繁栄に資することもない」と指摘した。
安倍首相はオーストラリア連邦議会での演説で、第二次世界大戦で犠牲になったオーストラリア兵に哀悼の意を表し、寛容なオーストラリア国民に感謝を表明した。しかし日本から最も近い、戦争の中で日本軍国主義による最も激しい蹂躙にあった二つの隣国、中国と韓国において、安倍首相はこのような姿勢を示したことがない。オーストラリアの韓国系住民によって構成される協会の代表者は、「これは安倍首相の偽りの本性を完全に露呈した」と指摘した。
オーストラリアを抱き込むため、安倍首相は感情のカードを切るだけでなく、巨額の資金を投じようとしている。
日本が貿易交渉の中で、強い自国保護の意識を持っていることは有名だ。特に日本は自国の農業を強く保護している。しかしアボット首相の今年4月の訪日で、両国は自由貿易協定の性質を持つ「日豪経済連携協定」の内容に大筋合意した。オーストラリアは、日本と経済連携協定を結んだ初の主要先進国となった。オーストラリア原産のワイン、乳製品などの農産物が日本市場に輸出される場合、低関税の優遇を受けることができる。アンドリュー・ロブ豪貿易・投資大臣は、「豪日は2007年より自由貿易協定の交渉を開始しており、指導者の強い政治意向によってまとめられた」と認めた。
日本はまた、オーストラリアとの防衛技術の共有にも力を入れている。今年6月の豪日の外相・防衛相による「2プラス2」会談中、ジュリー・ビショップ豪外相は豪日刊紙『オーストラリアン』に対して、日本が両国の防衛・安全の協力に強い意向を示していると語り、「未曾有」などの言葉により両国関係を形容した。