安倍晋三首相は6月15日、香港フェニックステレビの独占インタビューを受けた。安倍首相はインタビューの中で、歴史認識、安保体制、中日関係などに関する観点を示した。まず、発表を控えている戦後70年首相談話で過去の戦争を深く反省し、全体的に村山談話などの歴代内閣の歴史認識の基礎を引き継ぐ。次に、戦争を絶対に繰り返さず、積極的平和主義の理念に基づき日本の国家安全政策を改定する。それから、中日の戦略的互恵関係の発展、両国の交流の強化に向け努力を続ける。
安倍首相が急遽この独占インタビューに応じたことと、その具体的な発言について、中国の世論は「半信半疑」の態度を示している。信じるのは、これらの発言が歴史の発展の流れ、中日両国の根本的な利益と国民の福祉に合致するからだ。中国から殺到した観光客が、日本経済にどれほどの貢献をしたか、安倍首相は最もよく理解している。
時勢を知る人は傑出した人物だ。積極的に見ると、こうするしか他にないように思える。消極的・否定的に見ても、安倍首相が最も避けたい歴史認識問題において、日本の軍国主義による侵略と植民地支配の歴史については早くから定義づけられており、人々はみな正義感を持っている。戦後70年が迫る中、メルケル首相さえ間違いを認めるよう説得した。その圧力は推して知るべしだ。安倍首相が今年8月15日に発表を予定している首相談話には、日本の右派が騒ぎ立てている歴史の「翻案」の余地はほとんど残されていない。ゆえに裏表のどの面から見ても、安倍首相はやっと一つの流れを理解したと言える。(金嬴 中国社会科学院日本研究所副研究員)
しかしすべての物事は、推敲に耐えない。よくよく考えれば、「信」も「疑」に変わる。フェニックステレビはインタビュー終了後、直ちに世論調査を行った。その結果、回答者の8割は安倍首相の発言を消極的にとらえ、あるいは安倍晋三という日本の首相の信用を疑問視している。その主な原因は、あいまい、頑迷、不信感だ。
よく考えれば、中国人のこのような「疑」にも、根拠が無いわけではない。安倍首相は初就任時、当選後すぐに訪中し、「砕氷の旅(氷を砕く旅)」を実現した。これを受け一時、中国の人々と世論は一斉に賞賛の声をあげ、安倍首相に対する期待も高まった。しかし安倍首相は再任以降、まるで人が変わったかのように、中日関係を氷の洞窟に蹴りこんだ。