「日本人が中国でのスパイ活動を理由に拘束された」。そんなニュースが相次いだことを受け、日本政府は一週間ほど前、中国での拘束を回避するための注意事項を国民に向けて発表した。これには、行ってはいけないところや、撮影をしてはいけないところが詳しく説明されている。ちょっと聞くとものものしいことが起こっている印象だが、「情報社会」や「情報民族」などと日本が呼ばれていることを考えれば驚くには値しない。
日本人の情報に対する敏感さやそれへの依存、収集活動の周到さは海外でも知られている。1960年代に日本が公開情報だけで中国の大慶油田の位置や規模を正確に判断していたという話を思い出す人も多いだろう。中国は日本の巨大な隣国であり、情報収集の主要ターゲットになるのは当然だ。日本の学界にとって中国研究は「宿命」とさえ言われる。だが情報の収集と分析に長けていれば、正しい判断と政策決定が可能だと言えるのか。日本はこの点で手痛い教訓を得ているが、この問題は依然、日本が中国に向かい合う時に考えるべき問題となっている。
②中国人との交渉術の教授本がベストセラーに
現代のビジネス社会では、日本の民間情報収集の主体は企業が務めている。ネットでは、日本の多くの企業や機関の人員は、訪中してから報告書を書いて関連部門にわたしているという。もっともこうした説には誇張が見られる。日本企業の情報収集は基本的に、個人に依存したものではない。大企業には「戦略発展部」や「中国事業部」などが設置される。中小企業はより臨機応変で、ニーズに応じて研究機構の情報誌を予約購読したり、専門機構に委託して研究報告を作ったりといった方法が取られる。
記者の調べによると、日本企業の中国情報の収集活動の多くは中国人社員によって担われている。関連業務に携わったことのある日本企業の元社員は語る。「毎朝出勤して最初の仕事は当日の情報を収集すること。インターネットのキーワード検索で収集する。経済情報が中心だが、政治情報も欠かせない。中日両国の政治関係はしばしば経済に大きな影響を及ぼすからだ。その後、『タイトル+リンク』の形式でこれをまとめ、日本の本部に送っていた」
この元社員によると、対外的には「公開ルート」での情報収集が強調されるが、そうした方式には限界があり、「中国の官僚や企業、メディア関係者との会食を組織することもあった」という。「酒を3杯も飲めば、何か聞いても気まずくならない」。これは日本人記者がよく用いる方法でもある。「共産党関係者によると」などとの文字が日本の紙面に踊るのはそのためだ。だがこの社員は、これがきっかけで中国の関連部門の「調査」を受け、離職を決めた。「仕事はちゃんとこなさなければならないが、祖国にすまない事をしているとも感じ、板挟みで苦しんだ」
中国人との付き合い方で言えば、2010年以降、中日の民間交流が深まるにつれて、日本の書店には、「中国人といかに交渉/会話するか」といった書籍が多く並ぶようになった。1995年に出版された『中国人の交渉術』は当初の定価1650円だったが、今では1万2千円の値がついている。この本は、毛沢東などの中国の大物政治家との話し方を説明し、中国人との交流・交渉の秘訣を日本人に教えるとうたっている。
中国人社員に情報収集をさせることには、日本企業の魂胆が隠れている。ある日本国籍の上級管理者は、「中国人という身分が後ろ盾になる」と話している。「中国情報」は売れば儲かる。顧客に定期的に情報を送り、「コンサルティング料」を取る日本人もいる。
中国メディアや特定の記者の報道を収集することもよく用いられる手法だ。『環球時報』記者がある問題について日本人と議論をしたことがあったが、相手はその場で、パソコンからこの記者の記事を取り出した。この記者が驚いたことに、日本の政治や経済に関するこの記者の記事をまとめたフォルダーまで作られていた。
記者は取材をしていて興味深い現象を発見した。「中国に出張して日本に帰った後、報告書を書くか」という質問に対し、日本人は異なる反応を示す。これもある側面から内情を照らし出すものともなった。ある人はごく自然に、「仕事の一部なのでもちろん書く」と答えた。ある人は少し感情的になり、「書かない。日本政府に報告する義務もない」と答えた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年6月27日