神戸製鋼所の川崎博也会長兼社長は現地時間12日に東京で、アルミ・銅製品の性能データ改ざん問題について経済産業省製造産業局に謝罪し、記者団に対し「今後も国内外で不正事案が出て来る可能性は否定できない」と述べた。また納入先メーカーからの損害賠償請求の可能性も認めた。製品安全性の検証を終えてから、経営責任を明らかにする。今後不正事案が相次いで報告されれば、社長辞任も含め重い判断を下さざるを得ないという。
石井啓一国土交通相は24日、国土交通省がデータ改ざんの疑いのある、神戸製鋼のアルミ部材製造工場を調査中と認めた。同工場の製品は、日本初の国産ジェット旅客機に使用されている。
神戸製鋼は先週、データ改ざん問題により、この日本3位の鉄鋼メーカーから顧客が流出していると認めた。
【航空産業の回復に影響】
三菱重工業の報道官は先ほど、神戸製鋼が生産する、性能データ改ざんの疑いのあるアルミ製品が、三菱リージョナルジェット(MRJ)に使用されていると述べた。
MRJは2013年の使用を目指していたが、研究開発の遅れから、交付時期も延期されている。ロイター通信によると、MRJは日本政府の航空産業復興計画にとって極めて重要だ。
石井国土交通相は24日、記者に対して「神戸製鋼の三重県のアルミ部材製造工場を調査中だ。同工場が三菱重工のMRJに提供した部品が中心だ」と話した。
「設計と生産を重視する国として、我々は安全を約束する。MRJの量産化前に、その安全性を確保したい」
神戸製鋼は今月上旬、複数の工場が長期的に一部銅・アルミ製品の集荷検査データを改ざんしており、納入先が求める合格製品を提供していなかったことを認めた。調査の展開に伴い、データ改ざん問題が存在する製品が13種確認され、約500社が影響を受けていることが分かった。
三菱重工は23日、MRJには現時点で安全問題が確認されておらず、試験の日程と計画も神戸製鋼の問題による影響を受けていないと報告した。
国土交通省は、神戸製鋼のアルミ製品の調査を進めると表明した。これらの製品は自動車、新幹線車両などの生産に用いられている。