次に、日本が一時世界のトップに立った生産方法は、すでに時代遅れになっている。一世を風靡したリーン生産方式はアップルのビジネスモデルによる爆撃を受けている。またIoTやAIなどの新技術革命が新たな生産方法革命を起こそうとしている。これらの新しい流れは、技術のガラパゴス化を抜け出したばかりの日本企業にとって、新たな試練になっている。
また、日本企業の全体的な基礎研究水準も低下を続けている。人材が不足し、大学と企業は直ちに効果を生まない基礎科学への経費投入に消極的になっている。基礎研究に従事する若者が減少し続けている。
企業の経営管理面を見ると、企業が株主の利益を重視する欧米モデルに転じており、長期経営体制の構築に力を入れていた経営層は利益重視論に転じた。短期的な決算を重視し、品質管理の意識が薄れていった。コマツの坂根正弘元会長が「品質問題を取締役会で議論することは少なくなり、現場の責任者の処理に委ねることが多くなった」と指摘した通りだ。また日本の雇用制度のモデルチェンジにより、伝統的な品質管理体制を維持することがさらに難しくなった。終身雇用制と異なり、職員全体の4割弱を占める派遣社員は、企業に強い忠誠心を持っていない。熟練した技術者の定年退職に伴い、日本企業の品質管理水準が普遍的に低下している。
伝統的な体制が瓦解し、時代の流れに適した新しい体制がまだ構築されていない。これはメイド・イン・ジャパンの神話崩壊の根本的な原因かもしれない。(筆者:張玉来 南開大学日本研究センター副主任)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年11月6日