伊藤詩織:突き当たったのは日本の「ブラックボックス」だった

伊藤詩織:突き当たったのは日本の「ブラックボックス」だった。日本で明らかになっている性的暴行事件は氷山の一角にすぎない。多くの女性が、羞恥心や恐怖、目に見えない社会的な束縛から声を上げられずにいる。だが一人の女性が勇敢にも立ち上がった…

タグ:暴行事件 暴行事件 被害 権利

発信時間:2018-01-21 09:00:00 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 

とことんまで戦う


 頑固、わがまま、とことんまでいかないと気がすまない。伊藤は自分の性格をそう形容する。


 2017年5月、伊藤は日本メディアで、性的暴行に遭ったことを自ら明かし、警察の逮捕状の取り下げと検察の不起訴判断にも疑いを示した。東京地方検察庁の不起訴処分が出た後、伊藤は検察審査会に不服申し立てを行った。


 伊藤の勇気は日本人女性の中でまれに見るものだ。長期にわたって、日本社会には女性への偏見が存在し、性的暴行に遭うのは、露出度の高い服を着るなど女性の自業自得だと考える人さえいる。このため被害に遭った日本人女性は、沈黙を守ったり、自分を責めたりする傾向にある。伊藤が自ら事件を明らかにし、自分の権利を守ろうとしているのは、ナイフの刃の上でダンスをするに等しい。


 最初に警察に通報した際、伊藤は、「証拠集めが難しい」、あくまで戦えば生活に深刻な影響が出るかもしれない、訴えている相手が「業界で高い地位にある」ために仕事もできなくなるなどと警察官に諭されたという。


 だが「性的暴行がタブーとされる社会環境」を変えるため、伊藤はついに、立ち上がることに決めた。


「ブラックボックス」


 だが伊藤の戦いの道は険しい。2017年9月、東京第六検察審査会は伊藤の申し立てを却下した。同月、伊藤は山口に民事訴訟を提起した。


 山口は日本の安倍晋三首相と密接な関係にあり、安倍の「御用記者」と言われる。さまざまな原因から、日本の世論の焦点は最初から性的暴行問題には当たらず、その「政治的背景」に注目が集まった。山口が逮捕されなかったのは安倍政権の上層部が司法に介入したからではないかと疑う日本の民衆もいるが、伊藤に誹謗を浴びせかける右翼メディアやネットユーザーも目立つ。


 10月、伊藤は自らの事件を書いた『ブラックボックス』を出版した。


 伊藤によると、「ブラックボックス」とは、自らが警察に通報し、権利を守ろうとした際、ほかの人が何度も口にするのを聞いたキーワードだという。自らの訴えている性的暴行が2人だけの密室で起こり、事件が発生した際の自らの記憶も曖昧であるため、内部の状況を外部からはうかがい知ることができず、自らの意志に反して事件が起こったということを説明するのは非常に難しい。また警察や検察機構による事件処理のプロセスも市民にとっては「ブラックボックス」であり、透明性が足りない。

 

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