文=胡継平 中国現代国際関係研究院副院長、研究員
バイデン米大統領は20日よりアジア歴訪を開始し、23日に日本の岸田文雄首相と会談する。日本メディアの情報によると、バイデン氏は米国の日本に対する「核の傘」が依然として有効であることを再確認し、かつその「拡大抑止」の継続的な強化を強調し、双方の共同文書に盛り込むことになる。これは米国が日本への武器配備をさらに増やし、日本をさらに大国間の対抗における前線基地に変えることを意味する。
日本は米国の意図を見抜いているが、いわゆる「中国の脅威」に対応し、中国の戦略的目標に対抗するため、相手の狙いを利用して米国との安全協力をさらに強化しようとしている。日本はすでに「外交青書」の中で、自国が米中対抗の「最前線」に立っていることを明らかにしている。自民党が4月に発表した、新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた提言は、中国を明確に「重大な安全の脅威」として位置づけた。それと共に米国による安全の約束を強化する手段、米国の核抑止力を中心とする「拡大抑止」の利用について検討するとした。
日米両国は今回、安全目標と安全戦略の共有を発表する。つまり双方の安全分野が高度の一体化を実現することになる。
米国の「拡大抑止」の強化について見ると、「核シェアリング」にせよ、日本に新たな通常兵器を配備するにせよ、在日米軍基地を強化するか新設する必要がある。日本には現在88カ所の米軍基地があり、その多くが沖縄県に集中している。最近の沖縄復帰50周年において、基地問題が再び注目を集めた。県と市民は人口密集地にある普天間基地の県外移設を強く主張しているが、日本政府から拒否され続けている。市民は米軍に治外法権を持たせる「日米地位協定」の改正を求めているが、岸田政権は見て見ぬ振りをしている。これは在日米軍のプレゼンスの強化という日本政府の基本的な意向を反映している。
戦後日本は条約により米軍に軍事基地を提供し、その代わりに米国から軍事保護を受けている。しかし現在の米国による「拡大抑止」の強化の目標は日本の保護だけではなく、他国との軍事対抗もある。これは日本の戦略的野心と合致する。
日本の戦略的利益に合致するのは、中国と米国の関係改善、地域の安定だ。大国の対抗と軍事基地化は、戦争に巻き込まれるリスクを大幅に拡大する。日本国民と沖縄の人々は「政治エリート」や右翼政治家と同じように、その心の準備ができているのだろうか。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年5月20日