実際に、中国の年少人口は絶対数で大幅に減少しており、すでに深刻な「少子化」傾向が現れている。1995年前後、中国の0~14歳の年少人口は約3億3400万人と絶対数でピークに達したものの、その後は減少傾向が続き、2008年には1995年に比べ24.6%減となる2億5200万人まで減少し、総人口比が19%となった。こうした状況はインドと全く逆である。国連人口部(UNPD)のデータによると、1990年以降、インドの0~14歳の年少人口は中国を超え、2010年には3億7400万人に達し、中国を50%近く上回る。これは15年後にインドの15~30歳の青年人口比が中国よりも50%近く上回ることを意味する。このため、適切なタイミングで人口・計画生育政策を調整し、出生率を高めるほか、年少人口の大幅な減少傾向を反転させる必要がある。(表1参照)
また、中国の15~59歳の労働年齢人口は2010~2020年の間に9億2300万人とピークに達し、その後減少傾向を辿り始める。これに対し、インドの労働年齢人口は遅くても2025年には中国を上回る。2050年までに、中国の労働年齢人口はインドを約2億4400万人下回るとされている。(表2参照)
21世紀に入り、中国の人口問題に新たに2つの課題が発生している。1つ目は「少子化」の加速、つまり合計特殊出生率が急速に落ち込み、著しく標準的な人口置き換え水準を下回る状況である。2つ目は老齢化の加速である。UNPDの予測によると、2020年までに中国の60歳以上の人口は総人口の16.7%に達し、その後さらに上昇し2050年には31.1%を占め、世界平均の21.9%を大きく上回るという。
1980年代以降、中国の人口政策は人口の急速な増加抑制を目標としていたが、中国はこの目標を成功裏に達成したと言えるだろう。「夫婦1組につき子ども1人」とする規制は第1世代の人口政策に属し、1世代分の時間を費やし実施してきた。今後第2世代の人口政策、つまり「夫婦1組につき子ども2人」とする生育政策を実施し、深刻な少子高齢化社会の進展防止を目標に据える必要がある。現在、この目標の達成の可否は未知数であるが、限られた好機をつかみ将来に向け人口政策を調整・実施することが重要である。1980年以降の人口政策は大きな慣性を持ち、そのまま継続し改変されない可能性もあるため、調整しても大きな不確実性がある。長期的なコストと利益の観点から、早期に調整すれば早期に主体的に対応することができるが、調整が遅れれば主体的な対応も遅れることになる。さらに、調整しない場合は受身にならざるをえなくなるだろう。
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