こうした指導思想に則って、二〇一一年度の積極的な財政政策の実施を継続するにあたり、主として次のいくつかの方面に取り組む。
⒈ 都市・農村住民の収入を引き上げ、住民の消費需要を拡大すること。国民所得分配の枠組調整を促し、財政補助の規模を大きくし、都市・農村における低所得者層の基本的収入を底上げし、その消費能力を高める。農業強化・農民支援に係る諸般の政策を充実させ、雇用の拡大に努める。また、企業従業員の正常な昇給メカニズムの確立と健全化をサポートし、企業の定年退職者の基本養老年金と都市・農村住民の最低生活保障基準を引き上げるとともに、義務教育の学校、公衆衛生部門及び末端部医療・衛生事業体で業績給制などの政策を徹底させる。そして、家電製品の農村向け購入補助や買替補助など消費の拡大につながる政策を完全なものにする。
⒉ 投資構造の最適化に力を入れ、経済社会の発展における脆弱な部分を強化すること。中央の基本建設投資は主として保障タイプの安住プロジェクトや、水利施設をはじめとする農業分野のインフラ整備、教育・医療衛生分野のインフラ整備、省エネ・排出削減と生態環境保護、新疆、チベット及び他の四省のチベット族区域の経済社会の発展、自主イノベーション、戦略的新興産業の発展など諸方面への支援に振り向け、建設中または継続建設の重点プロジェクトの資金需要を優先的に保障する。また、第十二次五ヵ年計画枠内の重要プロジェクトの建設を秩序よく立ち上げる。それと同時に、民間投資の健全な発展をいっそう奨励し、導く。
⒊ 租税政策を調整し、充実させ、企業の発展を促進し、住民の消費を誘導すること。引き続き税制の改革と充実化を図り、行政管理・サービス関連費用・料金徴収と政府系基金を整理し、それを規範化させる。経済調節と所得分配における租税の役割をよく発揮させ、経済の発展パターンの転換を促す。付加価値税改革の試行作業を繰り広げ、消費税制度を完全なものにするとともに、個人所得税制度の改革を段取りを追って実施し、資源税の制度改革を推し進める。また、一部の薄利タイプの小規模企業に対し企業所得税の優遇策を引き続き実施し、中小企業の発展を後押しする。省エネ・排出削減や環境保護、雇用創出にプラスとなる租税優遇策を実施する。