国際世論は次のような事実に注視している。米国にとって、欧州の問題は一貫して最も重要である。11月9日はベルリンの壁崩壊20年の記念日であり、これは確かに欧州の重大事である。ベルリンの壁崩壊の15年後から欧州(EU)は大幅に拡張され、15カ国から27カ国間まで増加した。欧州人がベルリンの壁崩壊20年を盛大に祝うのは当然であり、オバマ米大統領の出席を期待したが、大統領は出席せずにヒラリー国務長官を派遣。大統領自身は11月13日から19日までアジア諸国を歴訪した。オバマ大統領はこうしたやり方を、欧州人は気に懸け、欧州の米国の目に映る地位は低下しているのではないか、と懸念している。
同時に、東アジア経済の一体化はますます勢いづいている。一体化の構想は97年のアジア危機後に生まれた。東アジア諸国は金融危機のダメージを受けた後、危機が来れば、誰も東アジアを救うことはできず、国連自身の救済が唯一の出口だと認識するようになった。その後、東アジア諸国は協力を通じて徐々に「アジア供給チェーン」(Asia Supply Chain)確立、「10+3」(東南アジア諸国連合〔ASEAN〕+中日韓)の範囲内の貿易、投資も大幅に増加した。現在までに、「10+3」域内の貿易は各国の貿易の58%を占めており、北米自由貿易圏より7ポイント近く高いものの、地域化の程度が最も高いEUに比べると7ポイント近く低い。「10+3」の首脳は05年12月14日、マレーシアのクアラルンプールで初の東アジアサミットを開き、「東アジアサミット・クアラルンプール宣言」に署名。共同声明は東アジア共同体の構築を長期的な奮闘目標に掲げている。
当面の深刻な金融危機も東アジア共同体の構築をより一層促している。中国とASEAN10カ国との自由貿易協定は10年1月1日に正式に発効し、10年と12年には、ASEANと韓国、日本との自由貿易協定も発効する。これが東アジア共同体の構築の重要な推進力になるのは間違いない。
昨年末以降、東アジア共同体の構築に新たな動きが出てきた。つまり、中日韓が「10+3」の枠組み外で別に3カ国首脳会談を行ったことだ。枠組外の初めての会談は昨年12月に福岡で開かれており、今年10月10日に北京で再び行われた。中日韓の経済総量は東アジア地域(13カ国)の85%を占める。過去、中日韓の首脳会談はいずれも「10+3」会議の期間中に開かれていたが、別個に行うことにしたのは、3カ国が東アジアの協力を重視し、共同で東アジア経済の一体化を前進させる決意を表すものでもある。これにより共同体の構築は強力に推進されるだろう。
|