文=余永勝
香港・中国評論通訊社の社説欄に掲載された題名「黄海軍事演習問題中米間の対立、どちらが勝者か?」の記事の概要を以下に紹介する。
米韓共同軍事演習の事柄が、紆余曲折を経て、ようやく決定が下された。米政府がこの度公表した内容によると、軍事演習計画案に新たに2点の変更を加えたことが明らかになった。一つ目は、演習を行う海域に、黄海だけでなく、日本海も加えたこと。二つ目は、米原子力空母「ジョージ・ワシントン」が黄海における軍事演習には派遣されず、日本海における演習にのみ派遣されることになったことである。
この変更が中国側の反発に起因していることは米韓両国とも否定はしているが、軍事演習の計画案が最終的にこのようになった原因が中国にあるのは誰もが分かっていることである。新たに加わった日本海での軍事演習も付け足しのようなものであり、今回の軍事演習全般における「黄海=中国」の特別感を薄めるのが主な目的であることは明らかである。黄海における軍事演習に航空母艦を参加させないのも、中国の反発を考慮しての結果であることは、これまでの経験上、結論づけることができる。
1994年10月、北朝鮮の核施設爆撃を検討した米国が、空母キティホークを黄海に派遣させたことで、黄海上空を中国艦載機が追うという、後に、「第二次世界大戦後、米海軍が西大西洋海域で遭遇した最も激しい海上での接触」と米国に評されるほどの大事態になった。米空母の黄海入りは、中国にとって非常にデリケートな話題であることは当然のことであろう。この度、米空母「ジョージ・ワシントン」を黄海に向かわせるという知らせが伝えられた後の、中国政府および中国国民の反発の声は激しかった。これが、米国が強硬な立場を軟化した要因であるのは間違いない。