このため、この度の黄海における軍事演習をめぐる中米間の対立は、中国が勝者であることは間違いない。米国が中国側の反発を考慮し、公海上の軍事演習の一部を変更あるいは取り消したのは、これが初めてのこととなる。これまで「米国=強国、中国=弱国、中国=米国の言いなり」であった図式が、基本上、同等の関係に変わろうとしている、ということを表している。米国政府が中米関係の対応に当たる際、過去のように権力を振りかざし、横暴な行動をとることはもうできなくなっている。
この20年間の歩みを通じて、中米間の相互の戦略的需要が完全に平等になっていなくても、この水準に近づいていることは確かである。この状況下で、米軍が中国近海の公海で軍事演習をするには、中国側の反発を考慮しなければならない。中国側が「絶対に反対」の態度を示せば、米国は演習の一部を変更せざるを得ないのである。1994年、米空母キティホークが、中国側に連絡もせず直接黄海に姿をあらわした時と比べると、今回は根本的に状況が変わっている。この度の米韓共同軍事演習において、米国が事前に知らせを伝えたのは、中国側の反応を見ようとしたためである。これこそ、米国が中国を無視できる自信を失っているということに他ならない。
当然ではあるが、世界の覇者たる米国は、やはりプライドを保とうとしている。空母が黄海における軍事演習に参加しないことを告げるのに、「技術的な原因」との言い訳をし、また「空母ジョージ・ワシントンの母港は日本横須賀にあるため、日本近海の海域で軍事演習を行う方が、道中にかかる時間を節約でき、より多くの時間を軍事演習に使うことができる」とまで説明している。これは明らかに自分への言い訳でしかないことは誰もがはっきりしている。中国側も当然、相手の微妙な心理を指摘するようなことはしない。この度の中米間の対立は、中国側が勝者であることは、中米いずれもはっきりと認識しているのに、それを公表しないだけなのである。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年7月23日