スーパーコンピューターの計算速度を競う世界ランキング「TOP500」が14日に発表され、グレードアップした中国の「天河1号」スパコン2期システム(天河―1A)が1位になった。
「天河1号」は昨年10月末に国防科学技術大学が開発に成功したスパコンで、今年に入ってから国家スパコン天津センターに設置された。これは米国に次いで計算回数が1000兆回を超えるスパコンを開発できる国になったことを示しており、「天河―1A」は1秒あたり2570兆回に達する。
このランキングを作成した1人で、米国テネシー大学計算機科学科のジャック・ドンガラ教授は新華社の取材に対して「中国は高性能の計算能力を急速に発展させている。これは中国のグローバル競争力に役立つだろう」と話す。
米国とはまだ差のあるCPU技術
「天河―1A」は米国産のCPUを使っているが、ドンガラ教授によると、スパコンのカギとなる技術であるCPUを接続するネットワーク技術は中国が独自に開発したものであり最先端だと言う。「CPUの技術ではまだ中国は米国に後れを取っているが、中国はいまこの分野の研究開発をしており、1年から2年の間に米国に追いついても何も不思議ではない」と話す。
主に民間分野で使用
軍事科学院世界軍事研究所の趙小卓副研究員は、スパコン計算速度の向上は情報安全などハイテク技術のサポートを必要とする分野にとって大きな意義があると考えている。
また国家スパコン天津センターの副主任で、「天河1号」応用ソフトを設計した朱小謙氏は、「『天河1号』は公共のハイテクノロジーに奉仕するプラットホームで、社会に向かって開かれており、ニーズがあるどんな業種でも使用が申請可能だ。今は主に石油探査やバイオ医薬などの民間分野で使われている」と話す。
中国の国防能力にプラス
東京理科大学知的財産戦略専攻の平塚三好准教授は、「天河1号」は一つのシンボルであり、世界最速のスパコン開発に成功した中国は、電子学分野の最先端のキーポイント技術を開発できるだろうと述べ、中国は世界トップクラスのスパコンと開発能力をよりどころに、科学研究、工業技術、国防などの面で世界のトップレベルに達するのも現実的になり始めたと説明する。
ドイツ誌「デア・シュピーゲル」は、技術開発面で西側から「コピーしている」と言われる中国だが、中国はすでにイノベーション国家になったと評価している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年11月16日