朝鮮半島の張り詰めた弦は、「反撃に値しない」との朝鮮の反応によって緩んだ。自制によって危機を回避することが可能であり、緊張の緩和が大きな流れであることは事実が証明している。
先般の朝韓交戦事件の鍵は朝韓間に領海・領土をめぐる争いが存在するということだが、周知の通り、事態は関係国を巻き込んで展開した。
韓国の李明博大統領は就任以来、対朝強硬姿勢を基本方針の1つとしている。11月23日の延坪島砲撃事件で韓国軍は完全に顔をつぶされた。12月20日の同島周辺での実弾演習を中止した場合、その政権基盤は深刻に損なわれていただろう。政権の危機と朝鮮半島情勢の激化という二重の圧力の下で、韓国は自制を選択し、「北方限界線」の南側に砲弾を発射することを決定して、これを朝鮮側に事前通知した。こうして韓国は退かない姿勢を鮮明にすると同時に戦争も回避した。朝鮮側は「いちいち対応するに値しない」ことで韓国側の面子も保ち、正念場で危機を回避した。さらに意外にも米ニューメキシコ州のリチャードソン知事を通じて「平和カード」を切り、国際世論における道義的評価を上げた。
日本は延坪島砲撃事件で得失双方があった。いわゆる「得」は、朝韓衝突を利用して軍事力を強化し、新「防衛計画の大綱」の内容の変化についても説明が可能になったことだ。いわゆる「失」は、日本国民を避難させるために韓国に「派兵」する考えを示し、韓国側の強い不満を呼んだことだ。日韓関係には亀裂が走り、韓米日同盟が一枚岩ではないことが再び証明された。