中国のステルス戦闘機「殲20(J20)」のテスト飛行が11日に成功したことが事実なら、第5世代戦闘機の最終調整や空軍の装備に時間がかかるにしても、中国は最先端の戦闘機開発の仲間入りをしたということになる。
J20の写真が出回っても、中国には西太平洋の空を懐に引き寄せようという意図はない。実際、10~20年後には太平洋の空域で興味深い利益の交錯と情報の混乱が起こる可能性がある。あるいはこの上空で人類の平和に対する苦行から何が得られるか、やはり争いが繰り返されるのか答えが出る。
大国である中国にはJ20のような新鋭兵器が必要だ。中国のJ20のテスト飛行はあたかも「早い」ようだが、中国の科学技術は西側と全体的な開きがあり、J20は最も先頭を走っているとはいえない。だが、中国を鼓舞するものである。J20はまだ孤立した「点」にすぎない。中国はこうした「点」が次々と完成して「線」となり、最終的に中国の近代国防を固める「面」となることを期待している。
中国の対艦弾道ミサイルのうわさ、J20のテスト飛行は西太平洋の安全保障に新たな要素を注入した。中国の近海の防御が徐々に広がり、絶対安全だった米空母は戦争が勃発した時に艦隊の防御強化を真剣に考える必要が出てきたという見解が西側では一般的だ。こうした判断は東アジアの実情と大方一致しており、この情勢を強引に変えるより、米国はそれに適応するほうがより寛大でより責任ある態度だといえる。
過去の大国間の競争の中で世界の流れを見てきた米国はそんなにもろくはないし、中国の微々たる兵器が世界を変えられないことぐらい知っているだろう。世界中で絶対的な制空権と制海権を握ることは歴史的角度から見ても現実的ではない。世界は大きく、動態的だ。赤道を丸ごと縛れるベルトを持つ国などない。米国がそんな実現できない苦労をするはずがない。
J20は「防御兵器」と位置づけるべきかもしれない。その理由は、人民解放軍の戦略全体が積極的な防御にあるからだ。中国は近海の戦略防御線を徐々に外に広げているが、これは安全保障上必要だからだ。米国は米艦隊の西太平洋における「自由」を制限するもの、中国周辺の制空権や制海権で中国軍隊と競争することになると考えるべきではない。
J20があろうとなかろうと、南方の冬に氷雨が降り、旧正月の帰省ラッシュで混雑する中国は米国と太平洋の覇権争いをしている場合ではない。雇用やもっと安い住宅が必要だ。J20は、中国が外からあれこれ強要されないよう、国内の問題解決に集中できる環境をつくる。
中国人もJ20の存在をはっきり見極める必要がある。中国の安全は、1機種の新型戦闘機だけで守れるものではないし、すべての新型兵器をあわせても守れるものではない。中国は周辺諸国の人心をとらえ、世界の人々と親しくなることが大切だ。人の心に糸を通すというのは、中国の新たに開発した戦闘機とミサイルが果たす最善の機能であろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年1月13日