第3に、欧米とイスラム世界との対立は根深く、対テロ戦争の拡大によって情勢は一層複雑化する。アラブの諺を使うと、米国の対テロ戦争は「砂に水を加える」ようなものだ。砂の小山がどんどん重くなり、イスラム世界と欧米の対立が激化し、文明の衝突が引き起こされるだけで、テロと過激派の問題の根本的解決にはなり得ない。アフガニスタンとイラクでの戦争が残した手のつけようのない2つのごたごたを、ビンラディン死後にうまく片付けられず、民族、宗教、人種問題を解決せぬまま放り出して去るのなら、間違いなく新たな因果の循環を招くだろう。
ビンラディンは死んだが、テロを生む土壌の除去には程遠い。国際テロ勢力は依然膨張を続け、その活動地域を欧米から発展途上国、さらには全世界へと拡大している。ビンラディンの死後、テロ情勢は厳しさを増す恐れがある。米国がビンラディンの死に一時的に歓喜するのはよい。だが国土の安全と世界の安寧を確保したいのなら、国際協力をさらに強化してテロを叩くだけでなく、テロを生む土壌を共同で取り除くことがなおさらに必要だ。これこそが根本的な解決の道だ。
米国はラディン後の対テロの戦果を揺るぎないものにするため、さらに3つの事をする必要がある。第1に、対テロ戦争の拡大による悪影響を正し、イラクとアフガニスタンの復興に力を入れて、テロ勢力や過激派の台頭を防がなければならない。第2に、開発問題を重視し、南北格差を縮小し、公正で合理的な国際政治・経済の新秩序を築くとともに、国際的なテロとの戦いにおいて、新たな組織を仕立て上げて私利を謀るのではなく、国連の役割を十分に発揮しなければならない。第3に、対テロ問題においてダブルスタンダードを止め、他国の利益を十分に考慮し、根本的な対策と個々の対策を併せて行わなければならない。こうして初めて、テロ蔓延の土壌を取り除くことができるのだ。
「人民網日本語版」2011年5月5日