ロシアのイワノフ副首相らが15日、南クリル諸島(日本名・北方領土)の択捉島と国後島を訪問したのを受け、日本に衝撃が広がっている。ロシア政府高官が北方領土を訪れたのは、東日本大震災後、初めてとなる。一度は被災地に支援するなど友好的な態度をとっていたロシアだが、実効支配を進める方針に変更がないことが示された、と日本のメディアは報じている。環球時報が伝えた。
ロシア通信社が伝えたとろによると、今回の島を訪れたロシア代表団は、イワノフ副首相のほか、交通運輸相、経済発展貿易相、自然エネルギー相、地域発展相、サハリン州知事などの高官約40人。イワノフ副首相一行はこの日、択捉島の港湾や建設中の空港などの進捗状況を視察したほか、島内の経済社会状況、インフラ、生活水準には「不満」を抱いるとし、こうした整備に資金を拠出すると発表した。
日ロ関係は昨年7月以降、領土問題をめぐり悪化していたが、今年3月11日に日本で大地震が発生後、ロシアが日本に緊急救援隊を派遣し、捜索活動を展開したことから、両国関係は回復に向かっていた。しかし、今回の訪問で、ロシア側は領土問題における立場に変更はないことを改めて明確にしたことから、日本で衝撃が広がり、両国の関係が再び悪化する可能性があるとロシア紙は14日、報じた。
15日夜の時点で、これに対する日本政府のコメントはないが、その衝撃は日本のメディアの間に広がっている。共同通信社は、日本政府はこれまで通り、遺憾の意を表明するだろうと伝えた。
毎日新聞は15日、「ロシア閣僚の北方領土、受け入れられぬ」との強い口調で抗議。3月に日本で大地震発生後、ロシアでは同情の声が広がっていた。プーチン首相が「日本は親しい隣国」と呼ぶなど、日本に対して友好姿勢を示し、両国は一時「休戦」に入ったが、今回の視察で「震災の神通力」が切れた。
産経新聞は同日、被災地を支援する一方で、ロシアの領土政策に変更はないと伝えた。イワノフ副首相が北方領土を視察するのは3回目。ロシアは被災地への積極的な支援と同時に、その強硬な領土政策に変更はないことを表明したとした。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年5月16日