◇重要な役割演じる中国
ASEANはかつて、地域の安全を守るのに最も有効な方法は大国を排除することだと認識していたが、その方法は現実的ではなく、ASEANの利益にならないと気づく。ASEANは包容性のある話し合いの場へと変わり、包容性のある地域の安全協力メカニズムを構築しつつある。今回、「南中国海行動宣言」の履行に向け合意した行動指針がその一例だ。
将来、歴史学者らは言うだろう。この合意は中国とASEANの安全と秩序の出発点だと。中国はその過程で重要な役割を演じた。今や中国なしでは、アジア地域の秩序を語ることはできない。
発展するアジアの大国、中国は人々の主観的な意向がどうであれ、アジアの安全と秩序の主役となる定めにある。中国の行動が、アジアが安全と秩序を形成できるか、またどのような安全と秩序を形成するかを決める。今のところ、中国は独自の方法で、ASEANを主体とするアジアの安全と秩序にうまく仲間入りした。中国の選択は中国の国家利益とASEANの利益とも一致する。
中国の行動の転換には西洋国とは違うアジアの特色が現れている。ASEANとの関係では、他のすべての大国と同じように多国間主義を受け入れ、多国間の枠組みの中で積極的な役割を演じている。多国間の関係ではまず、経済関係を強調、それから徐々に安全保障を含む他の分野へと関係を拡大している。
指導権を握ろうとする他の大国とは違い、ASEANの友好条約に加盟し、指導権を争うのではなく、ASEANの指導権を認め、支持している。これは、いたるところでその指導的役割を強調する米国と鮮明な対照をなしている。事実、米国の加盟は歓迎しているが、ASEAN各国も米国の行動に注意を払っている。
行動指針の合意には長い時間がかかったが、将来の平和的解決に向け、いいきっかけとなった。国と国との問題を解決する上で、西洋諸国はよく実力行使や武力政策を講じるが、中国はまず、友好的・協力的な雰囲気づくりに努め、それから平和的に解決できる方法を探る傾向にある。
西側との武力、「外在的脅威」、指導覇権の上に構築された地域秩序と違い、中国とアジア諸国はアジアの特色ある地域安全・地域秩序を確立できる。アジア各国は過去1世紀余り西側文化の影響をそれぞれ受けてきたが、中国、インドといった文明国の発展にともない、アジアは最終的にアジアに戻り、アジアならではの秩序を確立することになる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年7月27日