米国のオバマ大統領、パネッタ国防長官、デンプシー統合参謀本部議長は5日、国防総省で共同記者会見し、「米国の世界的なリーダーシップの維持と21世紀の国防の優先事項」と題した米軍の戦略的利益の評価に関するレポートを発表した。報道によると、レポートでは、軍事費の削減に力を入れ、2つの紛争に対処する軍事戦略を調整することが強調された。ここで注目したいのが、米国の軍事戦略の調整で、アジア太平洋地域が重点となっていることだ。
経済難は武力乱用と密接に関わっている
冷戦後、国防総省は2つの紛争に同時に対処する「2正面戦略」を打ち出した。しかし、この戦略には力不足という衰退の兆しがすぐに現れた。2001年、当時の国防長官ラムズフェルド氏は国会で同戦略の放棄を発表。その後、米国はアフガン戦争とイラク戦争を発動させた。しかし、この2つの紛争は「2正面戦略」の中の「侵略の撃退」の定義とは合致しない。なかなか決着がつかないイラク戦争とアフガン戦争は米国の重い負担となりつつある。
米国は軍事費が世界で最も多い国である。米国の経済難はその武力乱用と密接に関わっている。2012年は米国で大統領選が行われる年で、経済状況はオバマ政権の政治の命運に直接関わる。こういった背景下で、オバマ大統領は2つの紛争を早急に終わらせなければならず、またその一方で、重くのしかかる軍事費を削減し、米国の軍事戦略の調整を行わなければならなくなっている。
オバマ政府の2012会計年度の米国の軍事費支出は6620億ドルで、国会で承認された本年度予算より430億ドル少ない。オバマ政府は来月、2013会計年度の国防予算案を国会に提出する予定で、向こう10年で総額4500億ドル超の軍事費を削減する見通し。米国の軍事費は武器・装備だけでなく、増え続ける軍の医療保険や退役兵士に支払う退職金などの関連事業にも多く充てられている。オバマ政府は、退役兵士への支払い削減を検討する専門委員会を設立する方針だ。
新戦略の焦点はアジア太平洋地域
米国の新軍事戦略は、アジア太平洋地域の軍事・安全保障に力を入れるとしている。昨年アジア太平洋地域を訪問した際、パネッタ国防長官は、アジア太平洋地域が米国の安全戦略の中心であることをはっきり表明した。パネッタ国防長官は、イラク戦争とアフガン戦争が収束に向かえば、米国は転換点を迎えると見ている。アフガン戦争の収束後、米国はアジア太平洋地域の同盟国やパートナーと広く深い安全保障のネットワークを構築しなければならない。またメディアによると、国防総省は、米同時多発テロ事件後に米国がイラク戦争とアフガン戦争にはまり込んだことで、その他の地域で軍事力を強化する機会を失ったと見ている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年1月6日